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2007年2月 2日 (金)

ウチ目均考(27)~同じように書いて比較してみよう

☆ 不二家の製品から会社が自主的に決めた基準を守らない商品管理が明らかになった問題と日興コーディアル証券がSPCを使って利益操作をした問題とを比較してみる。ついでだからライブドアが東京証券取引所の時間外取引でニッポン放送株式を大量取得した事例とも比較してみる。


(不二家)

① 消費期限切れの牛乳を原料としたシュークリーム約2000個を製造し、関東、福島、新潟、静岡の1都9県に出荷した事実を把握しながら回収や公表の措置を取らず隠ぺいしていた。
② アップルパイなどに使うりんごの加工品の賞味期限切れを4回使用していた。
③ 細菌検査で出荷基準に満たない「シューロール」と呼ばれる洋菓子を出荷していた。
④ 菓子箱に虫が混入するトラブルが2005年発生し、同社が原因を調査した上で購入者に謝罪していた。

(日興コーディアルグループ)

① 日興プリンシパルインベストメンツ(NPI)のベルシステム24株式の買収スキームの中で,特別目的会社(SPC)として設立したNPIHを連結の範囲に含めなかった。
② NPIHに自社株転換条項付債券(EB債)を発行させた。
③ EB債の発行日を遅らせた(ベルシステム24株式の株価下落リスクを避けるため)。
④ NPIHにベルシステム24株式のTOB(株式公開買付)をさせた。
⑤ NPIにはEB債の評価益(約147億円)が発生し,同額の評価損がNPIHに発生するのに,NPIHが非連結であるため,日興コーディアルグループは,NPIのEB債浄化益のみを計上した。

(ライブドア) ※事実関係ではなく,考察。

① 当時の法整備・市場運用ルールに不備があった。ライブドアが行った大量取得行為自体は,当時の制度上,何の違法性もない。
② 企業倫理面から「望ましくない行為」であるという批判を受けた。
③ 一部の有力商法(会社法)学者からは,市場ルールを骨抜きにする実質的な脱法行為であるという厳しい批判を浴びた。


☆ ライブドア裁判の最終弁論で弁護側は「帝人事件(戦前の有名な疑獄事件だが,検察のでっち上げである)」に比較して,検察のロジックは「蜃気楼である」という激しい批判を行った。昨年1月当初,東京高検が作りあげたストーリーは妥当性のあるものだとあたしは思っているが,その後の公判までの推移,公判時の展開を見る限り,弁護側の主張にも相応の説得力があると思う。


☆ 法規範は社会規範の一部であり,社会規範(倫理など)で非難し得たとしても,法規範は法規範の解釈を持つべきである。検察の論理は「蜃気楼」かもしれないが,ライブドアが象徴する一部の新興企業に共通するものは「逃げ水の成長」ではないか。それはまるで無限連鎖講にも似ている光景だ。これを法規範として断罪して良いのかと問われると微妙な感じがするが,社会規範としては「行うべきではないこととやっても構わないこと」との間に引いた一線を超え,逸脱した行為だったのではないか。


☆ 不二家の場合は,それが人の口に入るものだという特殊性もある。食べ物の管理について,通常の「物の管理」に比べ,より厳格な管理を求めるのは,法規や行政指導によってではなく,社会の要請である。だから,不二家は風評リスクに晒され,同じように風評リスクを好まない大規模小売業の店頭から直接関係ないと思われる商品(非生菓子である洋菓子類)が撤去された。


☆ 日興コーディアルグループの場合はどうなのか?証券会社は市場の構成員であり,市場規律の維持という点で一般の発行会社よりも厳格なルールに則るべきであろう。そうでなければ,我々の国では市場秩序を保つことが出来なくなってしまう。それがどういう事態であるか理解できるのであれば,会計上のテクニックについてはより厳格な適用を求められなければならない。厚生労働大臣の失言がそうであるように,世の中には「取り返しのつかないこと」というものがある。取り返すことができない以上,いったん市場から退場し,改めてその存在意義を世に問い,世の中から受け入れられるまでの間は,少なくとも市場への上場は認められないのではないだろうか?


☆ これは一度失敗したら永遠に復活できないという意味ではない。再チャレンジそのものである。

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