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2007年1月 5日 (金)

証券税制についての論点と提言

☆ 証券税制についての論点をまとめる。

(1)株式市場の参加者の多くが退職者,主婦などの「無業者」であり,家計所得水準も700万未満が3分の2を遥かに超える。株式市場の参加者の大多数は「優遇されるような金持ち」どころか,将来の不安に備え,自分の力で積極的に資産形成を進めている人々である。この「チャレンジ」を支援することは,厳しい将来に対する国民の個人・家計レベルでの自律的な備えへの支援になっても,格差形成やその「是正」などとは「何の関係もない」ことは明白だ。

(2)株主は,企業が法人税などを納めた後に「剰余金」を配当として得ている。本来であれば配当金を個人所得として課税することは二重課税だ。二重課税の結果である配当税制と課税前の状態である利子税制とは異なって当然。利子に対する税率の方が,配当や譲渡所得に対するそれよりも高いのは課税過程を考えても当然のことだ。

(3)金利は,個人(法人)の銀行に対する債権の利子であり,譲渡益とは異なる性格のものである。譲渡益に対する税制と利子に対する税制を「金融所得」として一括課税するというのは,自家用車を購入した際の消費税と自動車取得税,自動車重量税などを一括して(同じ税率で)課税するというのと同じくらい不合理だ(もちろん自動車の場合,全ての税率が消費税率と同じになるなら,誰も反対しないだろうが)。

(4)例えば2年後から税率が2倍になるのなら,2年以内に誰もが株を売ってしまうだろう。長期保有した株式の税率が短期保有のそれよりも重いのは税の基本原則に反する(不動産の譲渡課税を考えれば明白)。

(5)本則税率を20%のままにするのであれば,以下のような激変緩和措置を検討すべきである。

 (A)・・・ 保有期間による緩和措置
      1年未満の保有 20%
      1年以上の保有 10%
      5年以上の保有  5%

 (B)・・・ 段階的課税率
      譲渡益の合計額が1,000万円以下  10%
      1,000万円超5,000万円の部分     15%
      5,000万円超の部分              20%

    この場合,例えば譲渡益税8,000万円の人はこうなる。
    イ)1,000万円以下部分 (10%)   100万円
    ロ)5,000万円までの部分(15%)   600万円
       ∴4,000万円×15%=600万円
    ハ)8,000万円までの部分(20%)   600万円
       ∴3,000万円×20%=600万円      
         合計1,200万円

    すべてが20%だった場合=1,600万円
        (税軽減額400万円=利益の5%)

    おそらく殆どの人が,譲渡益の合計額1,000万円未満
      に収まるだろう。

 (C)・・・(A)・(B)のミックス
    1年未満の保有分はすべて(B)による。
    1年以上の保有分はすべて(A)による。
    長期投資(資産形成)を優遇する手段として提案する。

☆ 考え方のポイント

◇逓増税率・・・通常の税制は逓減税率であるが,この場合は「逆進性」が発生する(大して利益が上がっていない人ほど税負担が大きい)。基本的に譲渡益だけで1,000万円というのは非常に高いハードルであるから,それを超えた部分の税率が高くなったとしても,トータルでは本則税率一本の場合より有利となるから不公平感は減少する。

◇長期優遇・・・資産形成に対する税制からの支援を本旨と考えた場合,短期譲渡課税を本則税率として,長期優遇税制を導入することは効果的。金融ビッグ・バンにより手数料自由化(定額化)を進めた以上,売買回数による「みなし条項」の復活はあり得ない。短期的な投機は市場に厚みを与えるために重要であり,短期売買だけを一律的に本則税率をかけることは合理的ではない。よって,短期売買であっても譲渡益が一定のレンジに収まっていれば優遇税率を残す併用案を提案する。

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