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2007年1月25日 (木)

ウチ目均考(26)~株式持ち合いは好ましくない

☆ 事業法人の株式持ち合いは,好ましいことだと言えるのか?


・ 外資ということを意識した時代は,戦後3,4回ある。最初は財閥解体。でもこれは個人株主作りだけで終わった。次は1970年頃の資本自由化。この時は,例えば三菱自動車(当時)がクライスラーの資本を受け入れたり,日産自動車がプリンス自動車を吸収合併した。この辺りは産業政策を主管する当時の通商産業省の影響が大きかった。その次はバブル直前の時期。きっかけは急激な円高であり,財テクという言葉が人口に膾炙し,企業はこぞってユーロドル債を発行した。その頃から銀行・生保と事業会社との間の株式持ち合いが密かに進んでいった。


・ この現象が何を生んだか,そのうち上映される映画を見るまでもなく分かるだろう。90年代後半のデフレスパイラルにモラルハザードの元凶を見るというのは偏った見方だとあたしは思っている。その路線を敷いたのは80年代であり,性懲りもなくそれから10年間ほど居座った連中こそがハザードである。リストラや貸し渋りは結果としての事象であり,それを助長したのは,都合の良い時だけ正義の味方面をするマスコミとそれに抗することも信念を通すこともなかった政治家である。


・ 何が言いたいか。原因は何であれ(資本自由化が三角合併の解禁に変わろうが),資本主義社会において資本を効率的に運用しないことは悪だと言える。それは都合の良い時だけ株主面する連中の言うことを聞けという意味ではない。資本政策を含めた企業の全体像がCSRに依拠することを理解しない経営者はそれを理解しているものと交替すべきだという正論を言っている過ぎないのだ。

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2007年1月18日 (木)

喉に小骨が刺さったままで

☆ 喉に小骨が刺さったままで本当にこのまま株式市場が上昇できるなどと,よもや極楽とんぼなことは考えていないだろう。今週初めに市場は25ベーシスの利上げを織り込みに行った筈だ。ところが空気の読める財務大臣が余計なことを言ったのが報道されたあたりから,風向きが一気に変わってしまった。火曜日は米国市場待ちにかこつけて総見送りとなり,水曜の朝は新聞テレビが「利上げ見送り」の大合唱を夏の朝の熊蝉みたいにやっていた。これでお終い。昨日の朝,冷たい雨の中をそそくさと車に乗り込む「白コアラ(=福井日銀総裁)」が不機嫌に見えたのはあたし一人じゃあるまい。

☆ 日銀はよく間違う。また日銀が間違うことによって,政治家は圧力を掛けやすくなる。今回の「上げ潮オヤジ」もそうだが,こういう露骨な姿勢はお公家様集団日銀を十二分にいじけさせてきた。確かに先月と今月でどこが違うんだと言われればそこまでである。では白コアラが日頃口にする「Foward-Looking」とはどういう事なのか?何をもって先見性をもった金融政策とするのか,あたしには皆目分からない。

☆ これで当面の利上げはなくなるだろう。来月になれば今月よりも指標は弱くなるだろう。それは生産や投資についてではなく,消費や街角景気についてである。こうしてダラダラと0.25%の誘導金利は選挙まで続く。もう既に4月の統一地方選挙は始まっているのだから。

◎ ソフト・コモデティ(穀類),外国為替(円を中心とするクロスレート),低位株(テクノロジー,建設など昨年放置されていたもの,悪材料を織り込みに行っているもの)。されど「リバウンドはリバウンド」。放り上げれば,時間をかけて落ちてくる。

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2007年1月 5日 (金)

証券税制についての論点と提言

☆ 証券税制についての論点をまとめる。

(1)株式市場の参加者の多くが退職者,主婦などの「無業者」であり,家計所得水準も700万未満が3分の2を遥かに超える。株式市場の参加者の大多数は「優遇されるような金持ち」どころか,将来の不安に備え,自分の力で積極的に資産形成を進めている人々である。この「チャレンジ」を支援することは,厳しい将来に対する国民の個人・家計レベルでの自律的な備えへの支援になっても,格差形成やその「是正」などとは「何の関係もない」ことは明白だ。

(2)株主は,企業が法人税などを納めた後に「剰余金」を配当として得ている。本来であれば配当金を個人所得として課税することは二重課税だ。二重課税の結果である配当税制と課税前の状態である利子税制とは異なって当然。利子に対する税率の方が,配当や譲渡所得に対するそれよりも高いのは課税過程を考えても当然のことだ。

(3)金利は,個人(法人)の銀行に対する債権の利子であり,譲渡益とは異なる性格のものである。譲渡益に対する税制と利子に対する税制を「金融所得」として一括課税するというのは,自家用車を購入した際の消費税と自動車取得税,自動車重量税などを一括して(同じ税率で)課税するというのと同じくらい不合理だ(もちろん自動車の場合,全ての税率が消費税率と同じになるなら,誰も反対しないだろうが)。

(4)例えば2年後から税率が2倍になるのなら,2年以内に誰もが株を売ってしまうだろう。長期保有した株式の税率が短期保有のそれよりも重いのは税の基本原則に反する(不動産の譲渡課税を考えれば明白)。

(5)本則税率を20%のままにするのであれば,以下のような激変緩和措置を検討すべきである。

 (A)・・・ 保有期間による緩和措置
      1年未満の保有 20%
      1年以上の保有 10%
      5年以上の保有  5%

 (B)・・・ 段階的課税率
      譲渡益の合計額が1,000万円以下  10%
      1,000万円超5,000万円の部分     15%
      5,000万円超の部分              20%

    この場合,例えば譲渡益税8,000万円の人はこうなる。
    イ)1,000万円以下部分 (10%)   100万円
    ロ)5,000万円までの部分(15%)   600万円
       ∴4,000万円×15%=600万円
    ハ)8,000万円までの部分(20%)   600万円
       ∴3,000万円×20%=600万円      
         合計1,200万円

    すべてが20%だった場合=1,600万円
        (税軽減額400万円=利益の5%)

    おそらく殆どの人が,譲渡益の合計額1,000万円未満
      に収まるだろう。

 (C)・・・(A)・(B)のミックス
    1年未満の保有分はすべて(B)による。
    1年以上の保有分はすべて(A)による。
    長期投資(資産形成)を優遇する手段として提案する。

☆ 考え方のポイント

◇逓増税率・・・通常の税制は逓減税率であるが,この場合は「逆進性」が発生する(大して利益が上がっていない人ほど税負担が大きい)。基本的に譲渡益だけで1,000万円というのは非常に高いハードルであるから,それを超えた部分の税率が高くなったとしても,トータルでは本則税率一本の場合より有利となるから不公平感は減少する。

◇長期優遇・・・資産形成に対する税制からの支援を本旨と考えた場合,短期譲渡課税を本則税率として,長期優遇税制を導入することは効果的。金融ビッグ・バンにより手数料自由化(定額化)を進めた以上,売買回数による「みなし条項」の復活はあり得ない。短期的な投機は市場に厚みを与えるために重要であり,短期売買だけを一律的に本則税率をかけることは合理的ではない。よって,短期売買であっても譲渡益が一定のレンジに収まっていれば優遇税率を残す併用案を提案する。

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