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2006年10月31日 (火)

ウチ目均考(18)下品なポピュリズムに市場を殺されてたまるか

☆ 日本経済新聞第43392号(2006年10月31日火曜日)第19面(投資・財務2)コラム「一目均衡」=税収減招く株課税強化=

☆ この記事は全投資家必見であり,これを読んで腹が立った人は民主党や菅直人氏に直接講義のメールを送ることを推奨する。こう書くからには,あたしも今晩メールします。要点は,前田昌孝編集委員が書いている第一段落が全てであるので,以下に引用する。

> 民主党の菅直人代表代行が29日のテレビ番組で株式の譲渡益に対する税制について「20%,場合によっては30%くらいに上げるべきだ」と述べた。課税強化を同党の格差是正施策の柱にするというが,何か勘違いをしているのではないだろうか。

☆ 勘違いも何もない。煽り厨房 菅直人お得意の弱者救済ポピュリズム宣伝に他ならない。ところが猫撫で声の前田が書いているように,これは,たった今まで我々が構造不況やデフレやリストラといった言葉で苦しめられ苛(いじ)められてきたことを,無反省にも繰り返すということに他ならないのだ。投資家は絶対にこの手の偽善に騙されてはいけない。市場の崩壊,ひいては日本経済の最終的な崩壊につながりかねないこの手の偽善には覚悟をもって徹底的に戦わなければ,我々だけでなく,我々の子供やその子供の世代にも禍根を残すことになるだろう。

☆ 改めて煽り厨房菅直人に問い質したいことがある。政治とは何か?国家における政治とは,人種・民族を始めとする雑多な人間集団の中で発生する利害を調整することにあるのだろうか。それは国家における政治の十分条件であるが,必要条件ではない。国家における政治の必要条件とは,その国家を国家たらしめるもの(領土であり,主権である)を明確にし,近隣国家を始めとする国際社会の中で自らの位置づけを明確にすることにある。これを民族単位に弾き直すと「民族自決の原則」となるが,アメリカ合衆国のような多民族国家にあっては,民族や人種という集団では社会契約が利益相反(トレード・オフ)する場面が頻出する。いわく人種差別であり,民族コミュニティ間の対立である。多民族国家における政治とはこうした自己撞着を超えた政治的(国家的,ただし自律的でなければならず,他の民族・国家への侵害はもってのほかである)正義のあり方を示すものであるべきだ。

☆ 日本という国家は,かなり多くの部分を日本民族が占めている構成になっているため,こうした多民族国家的な「政治的正義」が二の次にされ,政治といえば社会集団間の利害の調整に終始してしまう傾向がある。その際,おかしなことに例えば今回の徴税のような本来国家が持つべき機能に対してまで利害調整の考え方で議論を封殺するような傾向があることだ。今回は,この点について前田の論旨を追いながら徹底的に検証したい。

(以下「一目均衡」=税収減招く株課税強化=から引用)
> 株式の譲渡益課税は長年,大口・反復売買の場合(注:年間50回もしくは30万株と記憶)を除いて非課税だった。1989年4月から消費税を導入することになり,財務省(当時大蔵省)が「株式譲渡益が非課税なのは金持ち優遇でおかしい」と主張,証券界の反対を押し切った。

☆ この部分からして,投資家はばくち打ちのように扱われていたのだ。それだけでも屈辱に耐えない話だが,ここで明らかにすべきことは「株式譲渡益に課税するということが,政治的にどういう意味を持っているのか」という論点が抜けたまま,なし崩し的に決められたことは,本来的な徴税原則に対して不当なものではないかという問題点である。この部分に拘らなければ菅直人だろうが国税庁の役人だろうが,誰でも自分の論を正論と称するだろう。

> それまで投資家は株式の売却時に,有価証券取引税として売却代金の0.55%を徴収されていた。89年4月以降は有取税が0.3%になる一方,売却代金の1%を「みなし譲渡益課税」として天引きされることとなった。

> 天引きが困る人は税率26%(注:国税20+地方税6%と記憶)の申告分離課税を選択できたが,個人投資家の大半は面倒な申告を嫌った。要するに株式売却時の税率が0.55%から1.3%になったわけだ。

☆ いやそれだけではない。売買手数料の3%(のち5%)を消費税として召し上げられているし,配当金にも源泉(あるいは申告)課税がかかっていた。有り体に言えば,投資家は剥ぎ取られるだけ剥ぎ取られていたのだ。こんなバカを見たのは投資家とドライバーだけである。ちなみに「みなし譲渡益課税」の根拠は値上がり益5%と見て,その20%を課税したと言われているが,計算するまでもなく,それはまやかしである(分からない人は100万円で買った銘柄が120円に値上がりした時に売った場合の税額を考えればいい。差額20万円の5%は1万円だが,税額は1.2万円だ)。

> そして89年末に日経平均は史上最高の3万8,915円を付け,翌年からつるべ落としに下げた。税収の当ても外れた。「みなし譲渡益課税」の税収は89年度の6,044億円から98年度の1,012億円まで減少した。申告分離課税を選んだ人からの税収も,89年度の345億円から98年度は177億円に減少した。

> 90年代は地価や株価が下がり,富裕層の資産も目減りしただろうが,これを「格差是正が進んで良かった」と喜んでいる人はまずいない。資産価格の下落は深刻なバランスシート不況を招き,悪循環はさまざまなルートを通じて非富裕層にまで幅広く及んだ。

☆ その通り。年金運用は年率5%なんて株式運用益が無い限り絶対に達成できない水準にあったものを肝心の株価が崩壊して,代行返上の嵐や日本版401kの半強制的な導入につながった。リストラが社会問題化したのは,今は消費者金融だが,その前には商工ローン禍があった。企業は耐えきれず倒れるか犯罪に走り崩壊し,そのしわ寄せが30代の無就業者と目下大卒予定者の雇用合戦というあからさまな構図を示している。これらが資産バブル崩壊とその後のモラルハザード(住専問題時のマスコミと大手金融機関,そしてなにより国会の対応)が全ての引き金を引いたことを15年に亘る塗炭の苦しみから学習したのではなかったのか?

☆ 米国がその時期に繁栄したのは,アラン・グリーンスパンが超人だったからとでもいいたいのか?FRBは1990年代の日本の失敗をつぶさに観察して,市場との対話,市場への意思表示を通じた連続的な激変緩和というリスクコントロールを行ってきただけのことだ。日本の現状(少子化,格差社会)などは資産バブルを感情論で一気に潰したことで,着地すべき縮小点を見失い,限りない縮小均衡の無間地獄(デフレスパイラル)のとば口に立たされたことが何よりの理由ではないか。何が面白くて,また同じ道を辿るというのか?菅直人に政治家としての思想も力量もないことはこれで良く分かった。

> 民主党案に沿って現行の10%の税率を急激に引き上げれば,個人投資家が駆け込みで株式を売るだろう。企業買収ファンドに買いの好機を提供するようなものだ。企業経営者はじっくり経営に取り組む余裕を失い,日々株主対策に奔走しなければならなくなる。

☆ 異論なし。

> 税率は低い方が税収は上がる。例えば上場株式の配当に対する源泉徴収税率は2003年4月に20%から10%に引き下げられた。株価に左右されやすい譲渡益課税と違い,毎年1兆円前後の税収があるため,税率を半分にする影響は大きいと想像された。

> ところがふたを開けてみると,上場企業が積極的に増・復配をした。06年3月期には三月期決算東証上場銘柄の配当金総額が4兆8,959億円となった。03年3月期の2兆4,934億円から倍増し,税収の落ち込みを完全に埋めた。

☆ 当然だろう。配当金の高い企業への投資を促進する投資信託が登場し,株式投資を直接しなかった広い層に広範に受け入れられた。つまり菅直人の頭の中にある小手川君のような個人投資家はあくまでも少数であり,いまや投資信託経由で株式投資を始める個人はかつての昭和30年代以上の範囲・規模に広がっているのである。菅直人のようなことをそこですれば絵に描いたような「角を矯めて牛を殺す」結果になるだろう。今必要なのは市場の規律と利益の還元のルールを意識したファイナンシャル・リテラシーであり,それを前提にした「市場の”楽市楽座”」なのではないか。そういう国や国民のあり方を語り道筋を立てるべく自ら範を示すのが国政政治家たるもののあるべき姿ではないのか?

> 「貯蓄から投資へ」は始まったばかりだ。民主党案では,団塊の世代が3年間で受け取る退職金約50兆円が株式市場に流れてくる期待は持てない。国際的な金融センターの役割も,低廉な印紙税を納めるだけで譲渡益が非課税の中国に取って代わられるだろう。

☆ その通り。そんな国にもはや要はない。ここまで投資家を蔑ろにし,差別し,バカにする国に税金をまともに納めないという者が続出したら菅直人は自分の発言の責任をどう取るのか?改めてお尋ねしたいところだが,そんなことになればあたしも「永遠の旅行者」の一人になる道を選ぶかもしれない。

☆ そして菅直人の論理を言い換えれば,株式投資なんかしている者はこの日本では少数であり,そういう人間の所得を犠牲にしても格差是正には何の問題もないということになる。今までの経緯を見て,いったい誰が一番重税感を持たされているのか?まして,投資がリターンしかないような一面的な物言いがいかに国家正義に反するものであるか,理解できたのではないだろうか。今,こうした目先の人気取りや目先の税金取りしか頭にない連中と徹底的に戦っておかないと,後で取り返しの付かないことになるだろう。ウエブログで抗議や反対の意思表示をするだけでもいい。一人でも多くの投資家がこの政策の不当性を広く訴えていくことを希望したい。

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2006年10月29日 (日)

いったい現実を把握している者はいるのだろうか?

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☆ しかしシカゴというバンドがある意味アメリカを体現している部分があることは,否定しがたい現実であると思う。このブログは音楽のブログではなく,同じタイトルで音楽のブログにも書くのだが全く内容が違うことになる。ここでのシカゴは本題つまりJ-SOXなどという気取った「邦題」のついた法律を巡るドタバタ騒ぎに対するある人の意見を読んだ感想を導き出すための「記号」に過ぎない。ちなみに,この素晴しい邦題がついた問題意識高き曲の正式な題名は "Does Anybody Really Know What Time It Is?" である。

☆ さて本題。先日アメーバブログのinakenさんの「Finance fever」で財務報告に係る内部統制の評価・監査に係る議論についてという記事を見た。そこで紹介されていた,J-SOX対応をめぐる動向と問題点の検討という元記事についての感想。これは新日本監査法人代表社員の中島 康晴氏が書いている「会計監査徒然」というウエブログの10月18日付の記事だ。

☆ J-SOXという現象について感想はあって,別のところで皮肉まじりに書いたことがある。あたしの務めている会社は有報(有価証券報告書)提出会社ではないが,親会社にそういう会社があるので,少なからぬ迷惑を蒙ることになる。迷惑だと思う理由を,中島氏のウエブログを引用しながら説明したい。

> 金融商品取引法の成立によって、2008年4月1日以降に開始する事業年度から、内部統制報告書およびその監査報告書の提出が義務化されます。現在、実施基準が検討されているところであるようですが、米国での大失態(米国ではすでに404は制度として崩壊が始まっている)を受けて日本版はどのような形にするというのでしょうか。

☆ あたしも同感。だいたい2006(平成18)年度も上半期どころか7ヶ月目が終わろうとしているのに,「現在、実施基準が検討されているところであるようですが」とはどういうことだろう?ちなみに先月半ばに出掛けた学会の如き場でも「未だに実施基準が明確になっていない」という情けない状況だったが,企業会計や法務の実務家にとってはまさに時限爆弾的な迷惑な状況であることを関係者のお偉方は認識しているのだろうか("Does Anybody Really Know What Time It Is")?

> また、IT企業やマスコミの「船に乗り遅れていいのか」的なあおりの中で内部統制議論は大混乱の様相を呈しています。議論錯綜、試行錯誤といった状況の中、企業側は冷静にこの日本版404という制度について考えてみる必要があります。私の見る限り、この制度には多くの疑問・矛盾と思われる点があるので、本稿では、この点を整理してみたいと思います。ただし、全て私見であることをお断りします。

☆ アメーバのブログに書いたが,先週の日経夕刊「ウォール街ラウンドアップ」でいかにも「米国企業改革法」が不正会計の撲滅に役立っているかのようなニュアンスで記事が書かれていて,全く納得がいかなかった。中島氏の指摘でもこの後出てくるのだが,詐欺師の犯罪のツケをどうして何の関係もないサラリーマンが蒙らなければならないのか。考えるだけでも腹の底から怒りが湧いてくる。いじめ自殺問題や飲酒運転禍の報道でもそうだが,物事の本質を追及するのではなく,皮相的責任問題ヒステリックに追いかける全マスコミの姿勢は,一億総芸能マスコミ化(禍福の「」かもしれん)とも相俟って,国家の自主的な白痴化ではないかと思わざるを得ない。が,ここからヒートアップしていてはウエブログの紹介にならない(^^;)。

1.不正開示の実態との矛盾

> まず、米国におけるSOX法導入の発端となった会計不正事件として必ず挙げられるのがエンロン事件とワールド・コム事件です。この二つの粉飾決算事件により金融市場あるいはディスクローズ制度への信頼性が大きく損なわれ、その信頼性回復のための施策がSOX法という形で制度化され、その中の404条で内部統制の評価制度と監査制度が具体的に出現しました。

> ここで、まず大きなボタンの掛け違いを起こしています。エンロンもワールド・コムも経営者の不正です。不正開示の原因は内部統制の不備ではありません。経営トップ自身の意識の問題なのです。内部統制の構築が会計不正を防止する手段であるかのように、いつのまにか問題点がすり替わってしまっています。

> 経営者不正はガバナンスの問題であり、決して内部統制の問題ではありません。内部統制とは経営者が企業内に敷く制度・仕組みですから、経営者自身の不正にはまったく無力です。経営者の不正問題を内部統制の問題にすり替えてしまったところが、今回の大混乱を招いている根本原因だと思います。

> 日本の場合もまったく同様の誤解からスタートしています。日本版404のきっかけになった不正事件は、西武鉄道の不実開示とカネボウの粉飾であるといわれていますが、これらももちろん経営トップの不正です。内部統制とは関係ないところで不正は行われているのです。ライブドアにしても然り。そもそも、内部統制不備により(つまり、内部的に経営者が知りえないまま)開示の不正が生じ、しかもそれが投資家の判断を誤らす程に巨額であった例はほとんど記憶にありません。このボタンの掛け違いにより、404というとてつもなく無駄の多い経済制度を導入することになり、ひいては将来の米国経済・日本経済に大きな禍根を残すことになる気がしてなりません。

☆ 皮肉な言い方をすれば,個人情報保護法にも共通するのだが,トップが犯罪を主導するのであれば,いかなる内部統制をもってしてもそれを完全に避けることは不可能である。そういう資質の者に経営を任せてはいけないのであって,そもそも論で問題の本質が違うだろうと中島先生は言いたいのではないだろうか。あたしも全く同感だ。先ほどのマスコミの報道姿勢と同じことで,こういうのをモラル・ハザードと言うのである。

☆ あたしはこういう規制のあり方を見ていると禁酒法を思わずにはいられない。法の目的,あるべき社会への清廉な姿は望ましいかもしれないが,実際の規範として強制力を持たせたことで何が起こったか?何のことはないギャングを太らせただけだった。酒のような比較的簡単に醸造(蒸留)できる品物の場合,そういう形で規制することより依存症からの離脱という医療的施策のほうがよほど効果があることは,カポネとアンタッチャブル達の戦いをテレビ映画で見なくとも解りそうなものだ。

2.会社法の「内部統制」との混乱・誤解

> 今回の内部統制議論を混乱させている要因の一つに会社法があります。偶然にも時を同じくして会社法が成立し、その中で内部統制の構築を規定しているからです。しかし、会社法で言う内部統制は「業務の適正を確保するための体制」で、取締役の善管注意義務を明示しているにすぎません。また、404が対象としているのは開示に係る内部統制ですが、会社法は経営に係る社内の仕組み・制度を全て対象とする広範なものです。
> 内部統制という言葉は、そもそも「会社のある目標を成就するために敷く社内における全社的な手段」を総称する言葉であって抽象的なものです。会社法で言うような、「会社経営上のありとあらゆる会社の仕組み」を言っているのか、日本版404でいう「財務数字の開示の適正性を確保するための仕組み」を言っているのかを区別しないまま議論して混乱している場面に出くわすことも少なくありません。
> しかも、会社法では、それらの構築を規制して評価させるという制度ではなくて、それらの構築まで含めて経営者責任として問いますよといっているにすぎません。つまり、会社に不祥事が生じた場合、経営者が「知らなかった」とか「報告を受けていなかった」などという言い訳は通用しませんよ、経営者の内部統制構築責任が問われますよということです。では、どの程度まで内部統制を構築すればいいのでしょうか。しかし、その答えはわかりません。その構築のレベルの判断までも含めて経営者責任なのです。

☆ これについては,法務省の会社法チーム(相澤=葉玉組)の見解を見るまでもない。もともと会社法は,平成13年辺りから一連の商法近代化作業の集大成として,規制規範としての法律を制度のガイドラインという性格のものに大きく組みかえる作業であった。その過程で,会社のあり方を巡る現代的な問題意識を取り込みながらアップ・トゥ・デイトなものにしようという極めて実務的モダンなアプローチを採っていた。それに対する法曹からの批判は論を置くとして,実務的にはかなり大幅なフリーハンドを与える結果になり,それが規制大好き定型大好きな一部現場の混乱を招いているのは間違いない(´∀`)。

☆ 中島先生が最後のパラグラフで書いているように,あくまでも経営者の懈怠責任(=経営者としてやるべき仕事を怠けたことによって会社≒株主に与えた経済的損失への責任)を問われますよというのが,法務省の会社法チーム的な「内部統制に関する議論」である。逆に言えば,そのレベルを決めることこそが経営者としての仕事でしょうと彼等は言うのである。まあ当たり前の話といえばそれまでだ。

3.内部統制を経営改革の旗印にする混乱

> 内部統制という言葉をひと括りにして議論すると、業務改善といった無駄の撲滅や法令順守、リスク管理、さらには着服等の従業員不正の撲滅など、あるいはCSRといった広大なる目標にまで言及してしまい、ゴールが見えなくなってしまいます。しかも、これらはいずれも、日本版404で言っている内部統制構築とはまったく異なるものです。あくまでも、日本版404は、投資家への開示に係る決算数字の信頼性担保のために、その数字の作成過程の構築を義務付けているにすぎないわけです。
> 「日本版404を機に経営改革を」とうたっているような会社がありますが、これはいかがなものでしょうか。本当に投資情報の適正表示のための体制構築が会社の改革すべき課題なのでしょうか。これが本当だとしたら、公開企業として、ディスクローズという最低限の義務すらも果たせない危険な状況にあるといわざるを得ません。これは経営改革などという代物ではなくて、会社の最低限の義務です。
> 本当の課題は、不祥事撲滅やコンプライアンス、あるいは業務の非効率さの改善にあるのではないでしょうか。内部統制という言葉を使えば、それらの会社の課題が浮き出てきて解決できるほど甘くはありません。会社の課題は何なのか、何を改革するのかを明確に定めて、その具体的対策を議論すべきです。内部統制という「おばけ」のような言葉に惑わされてはいけません。

☆ つまり「会社法」に言う「内部統制」と金融商品取引法にいう「財務数字の開示の適正性を確保するための仕組み」とは峻別されるべきであり,後者における基準を遍(あまね)く前者を通じて全社に適用させるのか否かはまさに「経営者の経営者としての判断」の問題ですよということだ。その評価は会社法によって行われるべきではなく,例えばCSRとか企業コンプライアンスといった企業の社会的な役割の中で精度を上げていくべき問題ではないのかと思う。価値ではなく形から入ろうとするから,実務の現場に無用な混乱と軋轢を生じさせるのだ。それは経営者の経営上の問題といわずにいったい誰が,会社の中で責任を取るのであろうか("Does Anybody Really Know Whose Resposibility It Is")?

4.これを機に企業価値を拡大できるという誤解

「日本版404で企業価値向上」をうたう会社があるが、これも何か変です。投資情報の適正性確保のための体制整備はもちろん必要なことであり、それが完璧になればマーケットからの信頼が高まり、投資家は安心して投資の検討ができるというものですが、決して企業価値が上がっているわけではありません。企業価値とはもっと経済原理に基づく冷淡なもので、数字それ自体である。儲からない会社が、いくら開示や会計を整備したところで企業価値は上がりません。会計とか開示というものは数字の信頼性を担保しているにすぎないのであって、数字の裏にある実態には言及していません。経営実態を改革しない限り企業価値は上がらないというのは当たり前の話です。

5.会計を知らずしてJ-SOXを語る不思議

> 日本版404は会計問題です。投資情報として開示される数字の信頼性担保の仕組みを構築する制度ではあるが、その投資情報は「会計」というツールを使って会社の商売の実態を数字に落とし込んでいるのです。つまり、会計というツールが会社の「実像」を「写像」に変換しているのです。その変換の仕組み・体制が日本版404でいう内部統制です。
> 会計には多くのルールがあります。一つの仕訳をとってみても、それを起票するタイミング、計上する金額、それよりも何よりも、どういう勘定科目で処理すべきなのか、そのような会計の処理手続きが社内で正しい会計判断の基に適正に処理されているかということが問われているのです。従って、会計の基本であるところの、複式簿記の原理、B/SやP/Lの構造、資産や負債の概念、さらには税効果会計やキャッシュ・フロー計算書の原理、それらのものを知らずして404を語ることは絶対にできません。会計を知らずして404に入り込むと、入力ミスと集計ミスと承認漏れを洗い出すだけのチマチマした監視体制の構築に陥ってしまいます。つまり、「会計を知らずして404を語ることなかれ」です。

☆ この2点には何の異論もない。会社法実務の立場から考えれば,会計監査人が監査役(設置会社の場合。委員会設置会社なら監査委員会)とそれぞれの立場から(主として大会社や有報提出会社である)株式会社の監査を行う上の基本的なルールについて日本版404は内部統制の名前を使っている。会計知識の不足した頭でっかちなどっかの部門が,コンプライアンス,CSRなどとゴッチャにして,無駄な工数を課員に強いて残業させて形を作るのではなく,会計のルールに詳しい部門にチームを作り,隗より始めよという姿勢で初めて上手く行くのではないか("Does Anybody Really Know Whose Work It Is")?

6.会計士サイドの大いなる誤解(外部監査人の内部統制評価の実体を見抜け)

> 監査という仕事は難しい。他人のやったことについて評価するのですから、そもそもわからないことだらけです。実態に踏み込むには限界があるからです。それでも一定の評価を下さなくてはなりません。
> ところで、会計監査の場合、あくまでも会社側に会計数値作成責任が一義的にあることを明示させ、その数字についての監査を行うという立場を堅持しています。そして万が一、会社側の数値に間違いが発覚しても、監査上の手続きの問題と会社側の作成責任の懈怠という問題を分離しています。いわゆる2重責任の原則です。
> その場合、監査上の行うべき必要十分なる監査手続きを踏んだという証は「内部統制」という概念で説明されます。内部統制を評価した上で、個々の取引の実態調査をしているので、これは決して見落としではありません。一定の理論構成の基で行われた監査の過程で発見できなかったのだから、これはやむを得ないということです。つまり、内部統制という用語は、もともと監査用語で、しかも監査人の自己保身の理論構成をする上で使われてきた用語なのです。会計監査人は確かに従来から内部統制の評価を監査手続の中で行ってきました。しかし、それは実態に迫る血の通ったものには程遠く、外部から見た一定の枠の中で、監査という手続き上の中での理論構成上行っているにすぎません。
> 今回の日本版404で、内部統制という自分自身の評価に、従来から外部の監査人が行っている評価の手法をまねることは、あまりにもナンセンス。会計士側も自身の行動を慎むべきであると確信しています。「その会社の内部統制のプロはその会社にしかいない」のです。

☆ これも言われてみればそうだなあと思わざるを得ない。ところで中島氏が所属する新日本監査法人が提携しているのはE&Y(アーネスト&ヤング)なのだが,ここが米国でNECの監査を巡って厄介な事態になっているという報道が先週から市場を賑わし,NEC自体の株価にも相当は圧力となっているのは皮肉な気がする。米国会計基準でSECへの報告が大幅に遅れるから,9月中間決算の国内発表は国内基準でやりますとNECが言ったことについて,中島氏が立場上語ることはあり得ないだろうが,こんなところにもシステム仕事の難しさや米国基準(つまり本家SOX)を巡る混乱が伺える。どう考えても定着しているようには思えないのが,米国のSOX事情ではないだろうか?

7.内部統制評価の手続きへの疑問(「起こりうるエラー」を考える?)

> 日本版404の内部統制の評価の手法が混乱しています。開示につながる業務フローの中で、起こりうるエラーを事細かに全て拾い上げ、それを撲滅していくのが日本版404の内部統制構築の手法であると解釈しているむきもありますが、それは誤りでしょう。このような網羅的リスク撲滅アプローチは、コンプライアンス問題の解決や業務上の無駄の発見、従業員の不正着服の撲滅のためには、意義のある手法であると思われますが、こと今回の日本版404に関して言うならば、この手法は疑問です。そもそも投資家の判断を誤らすことがない程度に開示情報が担保されていることが今回の制度の趣旨であって、完璧なる100点を志向する制度ではありません。
> やはり、「リスクアプローチ」を駆使すべきです。そうでないとコストパフォーマンスが悪すぎます。完璧を求めることに要するコストはそのメリットをはるかに超えるものとなり、そもそも経済制度として成り立ちません。
> ところで、誤解しないでいただきたいが、「リスクアプローチ」とは上記のような詳細かつ網羅的にリスクを拾い上げていくようなリスク撲滅アプローチをいうのではありません。「リスクアプローチ」とは「リスクを拾い上げ、それを埋めていく手法」をいうのではなくて、まったく逆、「リスクのないところは何もせず、重要性の高いところだけを埋めるという手順」をいうのです。

☆ これと同じ光景を見たことがある。そうISO導入を巡る大混乱だ。奇しくもISOとこの内部統制でに共通するのが、「リスクアプローチ」である。日本人の悪いところは(半面非常に優れたところでもあるのだが),こうしたアプローチの時に最初にあるべき姿を結論として描き,そこに向けたタスクフォース的方法で全ての困難を突破して成果を得るという,「プロジェクトX」的手法しか正解が無いと勝手に決め付けることだ。

☆ こうした体育会系的根性主義がどれだけ非合理で,実情に合わないかどうしても理解できない御仁が多過ぎる。答えを言うのなら,演繹法でやるべきところを帰納法でやってはならないのである。「リスクアプローチ」は絶対の正解ではない。あくまでもリスクが予想される部分を限定してそこに重点をかけるから,それ以外の予期せぬリスクの可能性は常に内包している。それはむしろ一般的なリスクマネジメントの話であり,そういうところをゴッチャにすべきではないのだ。

8.定性的なものへの評価の限界は認識できているのか

> 次に、日本版404にはそもそも制度としての限界があるということは見逃してはいけません。定性的なものを評価することは非常に困難なことであり、かつそれを外部のものにさらに監査をさせるという仕組みは理論的には理解できますが、現実の実務の中では相当困難なものになるということです。
特に、外部の監査人は「これでは監査報告書は出せませんよ」というコメントをちらつかせながら、自己保身に走るので要求はきつくなる可能性が高いです。米国では現実のものとなり、404の崩壊が始まっているわけです。つまり、経済制度としてなじまないのです。開示の体制整備とそれを対象とする自己評価と外部監査という主張はごもっともですが、現実的な実務への反映は相当困難なものとなるでしょう。
> 子供の教育が重要であるからといって、親に「うちの子供はしっかり勉強しています」と宣言させて、外部のものにそれを監査させたところで、世の中がよくなるのでしょうか、意義があるのでしょうか。その制度に要する社会的コストはその社会が享受できるメリットをはるかに超えてしまうのではないでしょうか。

☆ この辺は勉強不足のマスコミや企業の経営者達にもしっかり認識してもらいたいと思う。このあたりの議論を見ていると例の「成果主義」なるものが人事の現場にもたらした混乱を思わずにいられない(今日はこればかりだ(^▽^;) )。

9.ドキュメンテーションとは責任解除のための証拠作りなのか
今回の日本版404は、その膨大なドキュメンテーションの作業が大変であるとよく言われます。そもそも、経営の屋台骨を脅かすほどにドキュメンテーションのコストをかけなくてはいけない制度というものが経済制度として成立していいわけがないという点を指摘しておきたいと思います。
> また、ドキュメンテーションの目的は説明責任の遂行といわれますが、結局それは自身の立証責任の確保であって、投資家保護というものとは結びつきません。また、ドキュメンテーションが整備されていないと監査ができないという理屈は一理ありますが、やはり監査人の見識が勝負の分かれ目になります。「ノンドキュメンテーション、ノンワーク」と主張する人がいますが果たしてそうでしょうか。確かに保身のための立証はできないという自己に不利に働きますが、保身ばかりを考えて遂行される経営や監査・・・ちょっと淋しい気がしてなりません。そういう世の中になったと言ってしまえばそれまでですが・・・。

☆ これもやはりISOを巡る混乱に似ていると思う。こうした混乱の原因となっているのは,それらのものがある日ある時どこか天の方から突然落ちてきた隕石に似ているからではないかと思う。突然の隕石がもたらした混乱に「とりあえず触らぬ神に祟りなし」だからサクサクと片付けて免罪符にしてしまえという流されモードに日本中が巻き込まれている。そこを衝いて不安ビジネスが花盛りという,どっかの占いのババアやスピリチュアルなオッサンが持てはやされているのにも似た気色と居心地の悪さを感じるのは,ひねくれ者で罰当たりなあたしだけだろうか?そんなあたしが言うのもなんだけど,免罪符の横行にルターは立ち上がったのだが,現代のルターがフーリガンもどきの反グローバル主義者だけということも淋しくないのかねえ?

10.果たして投資情報として本当に有用なのか大いに疑問

> 今回の日本版404の目的は投資家保護です。つまり、投資情報の信頼性向上です。ところで、そもそも投資家は投資情報という数字それ自身を判断材料にしているわけで、それを作り出す過程、つまり決算書作成までの裏事情に果たしてそれ程興味を持っているのでしょうか。

☆ あたしもそう思う。誰も,おそらく企業のアニュアルレポートを世界一読んでいるオマハのウォーレン・バフェットでさえも,そんなことは露ほどにも思わないだろう。そう言えばバフェットの投資方針は明確だ。「自分に分らないものは,買わない」。これで殆どの投資が済ませるのではないか。投機なら別だ。これは財務諸表は端から必要としない。そういう投資のあり方が投機なのだし。。。

> 「今期だけは経理のチーフが辞めてしまったために会社はてんてこ舞い、会計監査人との事前打ち合わせやコミュニケーションの強化により何とか決算を終わらせ、会計監査証明も無事付与された。」このような裏事情を投資家は本当に必要としているのでしょうか。結果的に数字が適正であれば、これでいいのではないでしょうか。その裏事情、「数字は適正であるが、実は体制は相当混乱している。監査の中で数字を修正したのがいくつかある。」というような情報が本当に投資家に必要なのでしょうか。

☆ 投資家でここまでの情報が必要な者など実際どこにもいないと思う。ただ,支配的株主であれば話は別だし,少数株主(前者以外の株主を指す)であっても自社との連結決算上,その会社に風評リスクが生じるのは困るという場面はあるだろう。ただそれは株主が経営にもタッチしていない場合だけであり,通常それは考えにくい(突然大株主に浮上したものは別だが)。そうやって考えると,一般株主(ごく小さな単位しか保有しない)にとっては,やはり必要なものとは思えない。

> 会社側と会計士の間で、来期からは今期の反省に基づいて、このように体制整備を進めていこうという話し合いが持たれ、お互いの協力の下に徐々に体制整備がなされていけばいい話ではないのかと思います。会社と会計士の関係とはそういうものです。これを癒着とか独立性違反とは決して言いません。

☆ ある意味正論だが,それを今言い切ってもいいのかな?やはりカネボウや西武=コクドについて反省すべき点は多々あるのではないのか。と監査法人には言いたい。いったい誰のせいで実務に無駄な工数をかけるこんな事態を招いたのだとあたしらが言えば嫌味に感じるのだろうか?

> 以上のように、今回導入されようとしている日本版404は多くの疑問や矛盾を内包している制度です。経営者は浮き足だつことなく、冷静にこの制度と向き合っていただきたいと思います。まさに、経営者の感覚と見識と戦略が問われる局面です。また、担当会計士にはぜひ議論をぶつけてみてください。一緒に前向きに意義のあるものを見出し、ともに歩んでいきたいと思います。

☆ これが結論。もちろん論旨はよく分るし,実務家としても分っていない経営層をどうやって説得するのか考えるだけで顔色を失いそうなんだが,こうした議論を監査法人の人が問題意識として提示しているところに,今の社会の健全な部分を感じるのも事実だ。多少嫌味を書いたところもあるが,本質的にはこうした議論の機械が増えることは大いに賛成したい。それこそが会社法チームの考える「開かれた企業社会」のあり方に沿った社会ではないかと思うから。(^∇^)

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2006年10月20日 (金)

ROLL AWAY THE STONE


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> 政府税調会長に本間氏、事務局案が覆る異例の人事

> 政府は19日、首相の諮問機関である政府税制調査会の委員を内定した。続投する見通しだった石弘光・前会長(中央大特任教授)(69)に代わり、新たな会長には本間正明・大阪大大学院教授(62)が選ばれることが事実上決まった。
> 委員の任期は3年間。11月上旬に開く予定の政府税調総会で、新たな委員による互選で本間氏が会長に選出される見込みだ。
> 前委員は、今月5日で任期が切れており、事務局の財務省と総務省は石・前会長の続投を念頭に、新たな委員の人選を進めていた。しかし、安倍首相が経済成長戦略の重視をより鮮明にし始めたことで、増税色の強い石氏の続投は官邸主導で見送られることになった。事務局が固めた会長の人事案が覆るのは、異例だ。
(読売新聞) - 10月20日0時29分更新

☆ これは喜ぶべき知らせだ。重石をようやく退(ど)けることが出来て,本当に良かった。考えてみれば,1990年代を酷い10年間にした戦犯を列挙する時に三重野康氏,久米宏氏の名前が外せないのと同様に,2000年からの悪夢の3年間を先導し,その後の回復にも常に抵抗勢力として立ち塞がった石先生の功績は極めて重大であると言わざるを得ない。誰か重石を退けてくれとあたしはずっと思い続けていたが,重石の方は「漬物石」よろしく財務省などの事務方に支援されて,居座る気になっていたのだから救えない。

☆ もちろん,本間先生に代わったところで財務省が証券税制の「正常化」を主張する構図は変わらないし,尾身財務相がそれに対して「結論」を持っていることも分かっている。分かっているからこそ,最後まで抵抗しなければならない。貯蓄から投資への流れの中で,いま目先の税金に目が眩んで,市場の息の根を止めてはならない。粘り強く主張すべきであると思う。

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復旧TEST

☆ TEST.

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2006年10月18日 (水)

ウチ目均考(17)キャリー・ザット・ウエイト

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☆ 日本経済新聞第43374号(10月13日(金)夕刊)7(マーケット総合2)面「十字路」にうわずり声でお馴染みのJPモルガン証券チーフエコノミスト菅野雅明氏が”「円キャリー・バブル」の行方”という一文を寄せている。このコラムは,先日もその反響を紹介したように,外為・短期市場の一部で話題となっていたので内容を紹介したい。

> 円は現在,企業の輸出競争力を示す実質実効為替レートで見て,1㌦=360円当時の1975年を下回り(JPモルガン試算),歴史的安値圏にある。

☆ これが導入部分。実質実効為替レートについての資料を探さないと何とも言い難い。ただ何も知らない段階でわかることは「円はその見かけよりも割安になっている」ことだ。たまたま今月の「私の履歴書」を元大蔵省財務官でいわゆる「通貨マフィア」の元祖でもある行天豊雄氏が書いていて,ニクソンショックの時に昭和天皇に円切り上げの件を奏上したら「通貨の価値が上がるというのは良いことではないか」という言葉をもらったというエピソードが書いてあり,昭和天皇も通貨価値を正しく認識していたことが分かり,興味深かった。さてそれは見かけ上のレートであり,その国の経済状態を加味したものが実質(実効)為替レートであると認識しているが,俗にマクドナルド(レギュラーのハンバーガーだかビッグマックだか)1個分をその国の通貨で換算するとどうなるかという比較がある。あれが実質(実効)為替レートだと考えているのだが,それでいいのかな?

(補足)内閣府資料「今週の指標」平成17年2月14日「606 より緩やかな実質実効レートの動き」 http://www5.cao.go.jp/keizai3/shihyo/2005/0214/606.html によると,実質実効為替レートとは「内外物価上昇率の差を考慮するとともに円と主要な他通貨間のそれぞれの為替レートを、日本と当該相手国・地域間の貿易ウエイトで加重平均した指数」であると定義される。この資料自体は1年8ヶ月前のものであるが,対米ドル為替レートに比べて実質実効為替レートの方が,より円安に示されることには注目して良いと思う。

> この結果,第一に日本の輸出産業の収益構造が大幅に増益となった。第二に対外証券投資の投資採算が大きく改善した。高金利通貨建ての外国債券を購入した投資家は,高金利と為替差益を同時に享受した。第三に日本政府も通貨の運用益が拡大。その分、財政赤字を削減できた。

☆ この指摘は何となく当たっている感じがする。少なくともここ2年ばかりの輸出産業(業種のイメージは少し異なるだろうが「任天堂」がその典型ではないかと思う)の収益は,為替のゲタを履いていた。また,高金利=金利選好な投資家が堪忍袋の緒を切って外債投資に殺到し(本人達にその認識はないだろうから,具体的な商品名で例示すると)「グローバル・ソブリン・オープン」の残高は未曾有の5兆円に達したとか。。。(個人資産1,500兆円の300分の1が一投信に集まっているのだ^^;)第三の指摘は,例の溝口財務官時代の「円売りドル買い介入」時のドル貨をFB(米財務省短期証券)等で運用していることを指しているのだろうか。

> 海外の投資家も債務を円建てにすることで利益を得た。オーストリアでは円建ての住宅ローンが増加中とのことだ。また別の発展途上国では,利上げをしても債務者が低金利の円建て借入れにシフトするので,金融引き締めの尻抜けになっているそうだ。こうした円建ての債務と円以外の外貨資産を保有する投資行為を「円キャリートレード」と言う。

☆ 90年代後半に「グローバル・キャリートレード」という言葉があった。理屈は同じだが,例えばドルで調達した資金を東南アジアやロシアの市場で運用するという行為である。もともと小さな市場に海外からある日津波のように資金が押し寄せる。そうなると一瞬にしてカネ余りが発生し,物価は投機的になる(そういうのがバブル)。資産価値の上昇に根拠を持つ安直な取引が増え,市場はあっという間にヒートアップする。ところがこのギアがいったん逆回転し始めると,物凄いデフレーションの津波に洗われることになる。ロシアに投資していたLTCMが破綻し,韓国やタイはIMFの管理下に置かれる状況になる。それが97~98年の通貨危機だった。

☆ その頃日本は,例の「ジェノバ以来」という超低金利にあったもののデフレスパイラルへの不安が渦巻き,格下げの嵐の中にあった。これでは円貨で資金を調達しようにも不安でたまらないということで,まだキャリートレードは進んでいなかったのだろうと思われる。しかし2003年の「りそな銀行公的資金導入」をきっかけにようやくデフレスパイラルの影が退場し始めると,信任を取り戻した円のその金利水準の低さが注目されるようになった。この辺りはドイツ証券武者CIOが存分に書いているから,敢えて個々で解説するまでもないだろう(^^;)。

☆ 「円キャリートレード」は,円で調達した資金で外貨資産を購入する。購入するためには調達した円を購入する資産の通貨(ドルとかユーロとかに)に変えなければならない。だから円が売られる。そうすると円売り圧力が掛かり続ける市場の中で敢えて円買いをする必然性はない。そうして円が低位安定することになる。いつぞや紹介した「不適合営業おばちゃん」の仕組み債もこの構造が続く限り,早期償還おめでとうということになるのだが。。。

> 円の超低金利と円安傾向が長期間続いたため,投資家の間に円安と円の低金利持続期待が醸成され,円キャリートレードは世界的に拡大している。これはまさにバブル現象である。バブルは,当初は市場参加者全員に利益をもたらすので,便乗者が増え,その結果円安が加速するが,すべてのバブルはいつかは崩壊する。

☆ 去年から今年にかけてのバブルは,主として商品市場で発生した。既にアマランスのように破裂した例(投資ファンド・ヘッジファンド)も垣間見える。アマランスについても既に書いたが,天然ガス市場という池の中の鯨になって自壊した姿は,その昔の住友商事浜中部長(5%の男)を彷彿とさせるし,全く同様にLTCMの崩壊とも二重写しになって見えてくる。菅野氏の指摘の中で重要な部分は「バブルは,当初は市場参加者全員に利益をもたらす」ということで,これはバブルが初期では潰れない最大の理由でもある(無限連鎖講も実にこれに似ている^^;)。

☆ 円安が加速しているかと言えば実感に乏しく思えるかもしれないが,長期的な円の推移を見るとその指摘が正しいことに気付くだろう。どちらかといえば,円高に動こうとする時に感じるプレッシャーがだんだん重たくなっていると言えばいいのか。。。

> 過去のバブルの多くは金融引き締めショックで崩壊した。円安は日銀の超低金利政策が背景にあるが,拡大する円キャリートレードを軟着陸させるには,日銀は直ちにごく緩やかな利上げ,例えば毎月0.05%の利上げを開始すべきだ。対応が遅れると将来,大幅な利上げが必要となり,円キャリートレード・バブルの崩壊と急激な円高を招きやすい。

☆ この部分が反響を呼んでいるようだ。今分かっているのは,日銀は金利上げを考えている。ただそれはあくまでも「市場との対話」の中で,市場に「納得も得心もさせて」0.25%の利上げをもう一度,年末か年度内にはやりたいということだ。なぜもう一度なのかと言えば,今の誘導目標金利では「のりしろ」が一回分しかない。かつて速見日銀時代にゼロ金利政策を解除したもののタイミングが悪く,量的緩和政策まで呑まされたことが日銀の事務方にはトラウマとなっているからだ。菅野説に従えば,0.25%の誘導目標上げは,利上げ5回分の効果をもつことになるから,キャリートレードの連中にはいささか強すぎる刺激になる可能性がある。そこまで「市場の空気」を読んで,これを誘導する力量が白コアラ(=福井総裁)の日銀にあるのかは,菅野氏ならずともいささか疑問で(^^;),その疑念を以下に示しつつ,菅野氏は筆を置いている。

> しかし,日銀の金融政策の目的は国内の物価安定であり,国際的な円キャリートレード・バブルの軟着陸ではない。かくして円キャリートレードはさらに拡大する。

☆ まあ厳しい結論だ。ただ,円キャリートレード・バブルの崩壊は,一時的に世界の債券市場とおそらく商品市場を極めて不安定な状態に向かわせる可能性が小さくない。その二つの市場が大揺れの時に株式市場だけ安泰という訳にもいかない(アジア通貨危機の時がそうだった)。であれば,やはりこの指摘は看過すべきではないと思う。個人的には武者さんあたりの反論を聞いてみたいが,エコノミストとストラテジストは立場が違うから議論は噛み合わないだろう。

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2006年10月16日 (月)

先週のニュース

☆ 日経が証券税制についての連載記事を書いていた。尾身財務相はかつて経済企画庁長官時代に景気の回復時期を問われて「来年の桜が咲く頃には。。。」という迷文句を残して市場に追い込まれたことを恨みに思っているだろうから,税収しか頭にない財務相の役人には心強いことだろう。

☆ もしも証券税制を元の(といっても実現していないのだが)20%に戻すのなら,先に消費税を10%にしてからにして欲しい。暴論のように聞こえるかもしれないが,合法的に税金を払わない仕組みを作った人間や組織・団体から最低限の税金を取り上げる努力もせずに,取れるところから取ってやろうというのでは,あたしは納得しない。消費税の逆進性なんてまやかしに引っ掛かってはいけない。脱税に対する最低限の抵抗方法が消費税なのだ。そういう努力もせずに,たかが全国数十万人の個人投資家にだけケツを持っていくような汚い凌ぎは止めたらどうだ。

☆ もう一つ興味深かった記事。日銀ネットがPCでできるようになるという話。そういう時代になったのかと思う一方でセキュリティの構築は大変そうだなと思った。

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2006年10月14日 (土)

ウチ目均考(16)~アトキンソンへのふたたびの反論

今回の記事の元ネタ。

◇ 「TOKYOマーケットExpress」(平日12:00~13:12)
http://www.nikkei-cnbc.co.jp/program/marketex/

<アンカートーク>
 10/12(木)「銀行株、反発の時期は?」
  ゴールドマン・サックス証券アナリスト デービッド・アトキンソン
 聞き手 : 小野利也(日経CNBC報道解説部次長兼アンカー)

Q: 銀行株をどう見ているか?

A: 時価総額はバブル時のピークとバブル崩壊後の最安値との中間にあり,非常に重要な分岐点と見ている。割安でも割高でもないところにあるが,これは日本経済が正常化する中で銀行株も正常化してきたと言える。ここからは,各行の経営改革がどう変わるのかによって,これが大きく上がるか上がらないかが決まってくると思う。

Q: 経営戦略評価のポイントは?

A: 二つの選択肢がある。ひとつはM&Aで国内外の会社を買収することや海外業務強化するというもので,もうひとつは,国内リテール戦略強化し,そこで利益を伸ばしていくものだ。比較すると,前者はあまり評価できず,後者は評価できる。

Q: なぜM&A戦略は評価できないのか?

上場金融機関180社の利益構成比(オリジナルは円グラフ)

主要銀行(7行)=44.7%,地方銀行=20.4%,ノンバンク=14.1%,保険=5.6%,証券=15.2%

A: 上場金融機関180社の利益構成比を見ると,その中に占める主要銀行7行の比率は44.7%に達している。ここで仮に地方銀行の全てを買ったとしても,現在の主要7行の利益構成比の半分しか利益を伸ばせないことになる。同様のことを証券会社に対して行っても,3分の1しか利益を伸ばせない。だから,買収しても大きく利益が伸びることはない。さらに,国内金融機関のあげている利益があまりにも主要行に集中しているので,海外展開したからといって,大きく利益が増えることはない。

(考察)

☆ この説明には明らかなまやかしがある。アトキンソンは,利益構成比なる円グラフを示して論理を展開するが,そもそも06年度決算で主要銀行が空前の利益を出すことが出来たのは,業務純益が良かったからではなく,貸倒引当の必要がなくなったから,会計上の技法を駆使して公的資金返済の道程(みちのり)をつけるために作った決算であることは,日本経済新聞普通の読者なら誰でも気付くことが出来た。

☆ このテクニックをわざと無視したのは,銀行は儲けるだけ儲けて預金金利を引き上げもしないという「風が吹けば桶屋が儲かる」式の三段論法を駆使して攻撃したがったええ格好しいの一部マスコミだけだと思っていたが,銀行株アナリストの中にまでそんな者がいたとは驚きだ少なくとも職業的専門家が無視して良い与件では無いだろう

☆ 更に言えば,シティとトラベラーズの合同を例に持ち出すまでもなく,現実的ではないとは言え,銀行がM&Aを考えるならば,別に上場企業である必要はない。もちろん相互会社という最悪の企業形態を別にしてだが,生命保険会社をM&Aの対象にしていけないという論理はない。極めて偏向した与件に基づく議論はもはや議論の体を成していない。まして「さらに,国内金融機関のあげている利益があまりにも主要行に集中しているので,海外展開したからといって,大きく利益が増えることはない」の部分に至っては言語明瞭・意味不明瞭で何を言っているのか全く理解できない。いくら外国人だからと言って,論理的に説明出来ないことをもとに議論を進めるのは如何なものかと思う。

Q: なぜリテールを評価するのか?

(参考資料) 日米欧主要行の店舗数・従業員数・1店舗あたり従業員数

  シティバンク (6,850店舗=300,000人=43.8人/店)

  HSBC (9,800店舗=244,727人=25.0人/店)

   バンク・オブ・アメリカ (5,800店舗=177,236人=30.6人/店)

  ウエルズ・ファーゴ (6,250店舗=153,000人=24.5人/店)

  三菱UFJ (895店舗=95,373人=102.6人/店)

  みずほ (540店舗=64,782人=120.0人/店)

  三井住友 (579店舗=53,696人=92.7人/店)

A: 今の銀行は,預金業務と住宅ローン以外リテールといえる分野をやっていない。海外行との比較でインフラを見れば分る。店舗数で見れば,CITIBANKは6,850だ。それよりも重要なのは人(従業員)の数で,小口の利鞘の厚いビジネスをやるために,数をこなさなければならないので,人が物凄くたくさん要る。銀行の店舗は(製造業の)一般企業で言えば「工場」であり,そういうモノを作る場所も人もないという問題を解決していかないといけない。銀行はリテール戦略をいろいろ言っているが,それを実現するだけの人が足りない。

Q: 人や店舗を増やしながらも収益が保てるような銀行でないと評価できないのか?

A: そう。金融業だから,人を中心とした業界なので,これからは人を増やしていかないと利益の成長はない。

(考察)

☆ この説明にも明らかな黙殺もしくはまやかしがある。CITIBANKの店舗数は,米国内外でどう異なるのか?シティとトラベラーズが合併した時に,店舗をどのように勘定したのか?ここにある店舗数は,銀行業を行う店舗だけなのか?仮にそうだとして,各店舗に雇用されている従業員数には正社員・パート社員・派遣社員の別はどうなっているのか。日本の銀行と比較した他行では同じ定義に基づく人員を比較しているのか?

☆ 考えてみれば分るが,日本の銀行で一店舗平均90人から100人いますと言われて「へえそうですか?」と思うだろうか?銀行に振込だの出入金だのに出掛けるOLさんなら気付くだろう。「そんなにいないと思いま~す」従業員という時に,それは間接部門をどう勘定しているのか?営業店舗だけで考えているのか,そういうことの前提のない議論は「ためにする議論」でしかない。更にアトキンソンが例に出したバンカメリカやウエルズ・ファーゴといった地銀色の強い銀行の場合,その銀行の展開地域にも着目すべきだ。カリフォルニアや南部であればヒスパニック人口が爆発的に増加している。そこには新しいビジネスチャンスが開けている。この点で日本はどうだろうか?まだある。アメリカでは銀行員(特に融資等の商業銀行業務)の地位はこの10数年(米国はビッグ・バンではなく,メイ・デイだったと思うが。。。)に大きく下がってしまった。従業員を増やす場合には,たとえが悪いが,数年前に小売・金融業の丸井がやったように,従業員の大半を子会社に転籍させるような荒療治をした結果,コストの切り下げと交換してようやく対応できるような問題ではないのかと思う。

☆ あたしは数ヶ月前にアトキンソンが自分のレポートの中で,ある日,所用があって銀行の窓口に行った時,大した要件でもないのに非常に長い時間待たされたというエピソードをわざわざ書いていたのを読んだことがある。よもや自分が銀行で待たされた腹いせに,この主張をし続けて,日本経済新聞の「経済教室」などという本格的な論壇に投稿したり,日経CNBCの番組にわざわざ出演してまで言い続けるのであれば,自分の地位を良いことに私憤を公憤に置き換えてもっともらしい顔で喋り続ける㌧でもないDQNそのものだ認定していいのではないかと思う。

Q: 銀行の決算について(07/03中間・通期)をどう見ているのか?

A: 上半期に関しては,当期利益は若干上ブレをすると思うが,業務純益はあまり変わらない。前年度に比べると若干弱い数字になると思う。それよりもポイントになってくるのは通期予想だ。

(参考資料) 

・各行の数字は左から順に当期利益予想(GS予想→I/B/E/Sコンセンサス→会社計画値)およびGS予想との差(対I/B/E/Sコンセンサス→対会社計画値)

三菱UFJ (101億円,88億円,75億円 : 14.4%,34.9%)

みずほ (76億円,74億円,72億円 : 3.6%,5.8%)

三井住友 (68億円,65億円,57億円 : 5.9%,20.0%)

りそな (35億円,34億円,30億円 : 2.5%,17.5%)

住友信託 (11億円,11億円,11億円 : 0.4%,8.6%)

三井トラスト (14億円,13億円,12億円 : 8.5%,16.7%)

新生 (9億円,8億円,8億円 : 4.4%,3.0%)

Q: なぜ強気に見ているのか?

A: 下半期になると,金利上昇(ゼロ金利解除)を受けて利鞘が改善してくるからだ。よく「法人に対する貸出は競争が激しくなかなか利鞘が稼げない」という話を聞くが,それは単純な誤解ではないか。と言うのは,銀行に対して「利鞘は拡大するのか?」という質問をする場合に,質問を受けた銀行側が「市場金利に対する貸出利回りが改善しているのか?」と理解して回答することがある。この利鞘(市場金利に対する貸出利回り)が悪化しているのは事実だが,これは日本経済に対する格付が上がることで縮小するはずだ。
 それよりも問題なのは,この貸出利回りに対して,預金利回りがどうなっているかということだ。ここに焦点を当てて考えないと誤解してしまうが,これに関しては下半期に改善することは,ほぼ確実だ。

Q: すると上期に比べて下期はずっと良い業績になるのか?

A: そうですね。

(考察)

☆ このブログを見ている銀行マンにお願いしたい。上記アトキンソンの認識真実のことか?それとも銀行の現場では「法人に対する貸出は競争が激しくなかなか利鞘が稼げない」という状態は変わっていないのか?ここは現場リアルな声考察したいので,出来ればコメントで教えていただければ幸いに思う

Q: では銀行株に対してはどう評価するのか?今後どう動くと思うか?

A: 最近,金利が思うように上昇しないとか利鞘は本当に改善するのかと言われているが,下半期になると改善するのはハッキリしてくる。今まで17年間銀行株を見てきたが,利鞘が改善すると若干アウトパフォームする傾向が確認されているので,下半期に入るとマーケット(平均)に対して少しは良くなっていくと思う。

Q: 今はハイテク株などが買われているようだが?

A: 銀行株セクターは他のセクター並みか若干良いという程度だろう。

Q: 個別銀行では注目しているところはあるか?

A: これから銀行株を見ていく時に,店舗を増やすこと,バイトやパートで実際に銀行業務をやる人を増やす銀行に注目していきたい。そうすると大手の中ではみずほFGは,店舗を100増やす計画をこの下期から本格化してくるので,下期から来年度にかけて注目していきたい銘柄だ。地銀では同様の理由で横浜銀行。向こう2年間で店舗を11%増やす計画があり,既に一部出店を始めており,予想以上に実績が上がっている。地銀セクターは強気で見ていないのだが,その中で相対的に横浜銀行を強気で見ている。

Q: スルガ銀行はどう評価するか?

A: 割合小規模の地銀だが,独自の戦略を持っている。女性や外国人に対する住宅ローン貸出を増やしたりしており,成長性に期待したいということで相対的に魅力があると思う。

(考察)

☆ 個別についてはコメントしない。ただ偶然とはいえ,アトキンソンの演説の翌日に福岡銀行が九州親和FGを傘下に収め北部九州におけるパフォーマンスを高めるようなM&Aを発表していたのは興味深かった。

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2006年10月12日 (木)

ウチ目均考(15)~小型株を誰が売るのか?

☆ いつも読んでいるメールマガジンに「10秒でわかる日経」というものがある。今日は,日本経済新聞第43373号(2006年10月12日(木))第3(総合)面掲載の記事「新興3市場 軒並み年初来安値」という記事を種に興味深い考察をしていた。

☆ 発行者である佐々木氏の考察はまず「現在の日本の小型株市場は、2000年の小型株バブル崩壊の再現を見ているようだ」と指摘する。これは同感。指摘によると,1998年10月から2000年2月までの「ITバブル」相場では,「ジャスダック平均株価は23ポイントから130ポイントまで5.7倍に上昇し、その後2000年末までに61%下落した」。

☆ これを比較しやすいように,出発点である1998年10月の株価を100とすると,
100×5.7÷(1-0.61)=222.3 となるが,もちろん個別株ではソフトバンクや光通信の株価が物語っていることだろう。この1998年10月というのは金融危機が大っぴらに言われた時期であり,Yahoo!掲示板などがまだ「フォーラム」としての機能を発揮していた時期でもあるまた2000年にはソニー株二分割前の高騰相場があった。

☆ 考察は続いて「今回も2002年12月の36ポイントを起点に2006年1月までに3.9倍に上昇し、現在までのところ42%下落している」という。

☆ これも同じように指数化してみよう。出発点である2002年12月の株価を100とすると,
100×3.9÷(1-0.42)=226.2 となる。

☆ メルマガにあったurl "http://tinyurl.com/s95wl" を見てみると,Bloombergの著作権マークの付いたチャートが出てきた。

☆ 東証マザーズ,JASDAQ指数,東証REIT指数,東証2部指数,TOPIX,日経平均と思われる6つの指数で,1年前をゼロとする推移をグラフ化したもので,これを騰落率の順に並べると,日経(+21.49%),TOPIX(+15.61%),REIT(11.37%),2部(-2.48%),JASDAQ(-19.89%),マザーズ(-39.88%)とこれぞ一目瞭然の結果である。

☆ これ自体はもっともな指摘だと思うが,こういう時点推移を見る場合,どこに起点を置くのかという問題があることを忘れてはならない。2002年12月が起点として適当なのか多少疑問がある。

☆ 佐々木氏は続けてこう指摘する。
「投資家はついこの前の事さえ忘れてしまったと見える。6年前と今年と、2度もこれだけの上昇率を示したのだから、近視眼の投資家には、儲ける機会が溢れていると考える人も多いのだろう。しかし、その儲けとは一握りの期間、多くの投資家のコストで、一握りの投機家だけが得られる性格のものだ。あたかも何とか商法と同じだ。」

☆ この指摘にも基本的に同意する。が,この6年,いや8年間に投資家の「質」が変わっていることを見落としているようにも感じる。一例として「ジェイコム株誤発注時に買いまくった」K君が象徴するようなデイ・トレーダーの存在がある。6年前のITバブル崩壊を象徴する事件は「日本経済新聞による個人掲示板への攻撃記事」であるが,当時はまだ中小型成長株に自らの夢を載せて長期のスタンスで買い煽った投資家が少なくなかった。そうした投資家を煽った外資系の無責任なアナリストレポートの存在も忘れてはならない。

☆ あたしはそうではなく,今年の1月にイノシシ(ライブドア)が東京高検のガサ入れにあった時に,相場が短期間で一時的に回復した背景にはこうした個人投資家の買い物ではない「行け行け筋=Go Go Fund」がいたのではないか?そして結果としてイノシシを発端とする新興企業の会計疑惑が続発し,新興企業の財務諸表に疑いを持たれたところで,どんどん機関投資家が売り切ってしまい,それを途方に暮れて見送っていたファンド筋が,ここに来て解約売りを出しているのではないかと考える。

☆ もちろん「それは現株が投信に変わっただけだ」と言われればそこまでだろうが,あれもこれも個人投資家だけがバカを見ているというのが本当に正解なのか,あたしには解らない。

☆ 佐々木氏は止めを刺すようにこう結んでいる。あたしも同意見である(実際,しくじったのは先日書いたとおり^^;)
「上がったり下がったりが激しい市場というのは、儲かる市場ではない。単にリスクが高い市場であるに過ぎない。小型株市場を世界の中で見てみると、過去5年の成績は22市場中の21位、今年だけに限ってみると最下位の成績だ。2003年から2006年初にかけて日本の小型株市場は大きく上昇したという印象をもたれがちだが、実際のところは異なる。

     01-06累積 2006 2006ランク
DENMARK    372%  33%  3/22
SPAIN      313%  34%  1/22
AUSTRIA     248%  25%  6/22
NEW ZEALAND   243%  11%  16/22
SWEDEN     233%  33%  2/22
AUSTRALIA    203%  19%  10/22
IRELAND     191%   5%  20/22
FINLAND     188%  16%  13/22
SINGAPORE    177%  29%  4/22
CANADA     154%   8%  18/22
PORTUGAL    126%   0%  21/22
SWITZERLAND   98%   27%  5/22
BELGIUM     97%   18%  11/22
NORWAY      96%  19%  9/22
UNITED KINGDOM 95%   21%  8/22
ITALY      90%   22%  7/22
HONG KONG    88%   10%  17/22
USA       79%   8%  19/22
FRANCE      64%  18%  12/22
NETHERLANDS   62%   15%  14/22
JAPAN      57%  -22%  22/22
GERMANY     52%   15%  15/22

「ビジネスでも投資でもそして魚釣りでも、魚のいるところで釣りをするというのが鉄則。馴染みがあるから、慣れているとかで始めると失敗する。」

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2006年10月 9日 (月)

日経CNBCアンカートーク 10月2日(月)ネットエイジグループ西川潔社長インタビュー

インタビュアー:日経CNBC報道解説部 中島健吉アンカー
※インタビューの内容を再構成したレジュメ形式で作成した。

(1) ネットエイジグループの事業は,インターネットビジネスのインキュベーターを標榜してきた。インキュベーターとは事業育成会社という意味で,この8年半の間に26のビジネスを世の中に出してきた。

(2) 2年半前に会社再編を行い,インキュベーター部門とベンチャーキャピタル部門とを100%子会社として持つ純粋持株会社として現在に至っている。

(3) テーマはインターネットである。売上の66%がネット事業ビジネス,34%が投資事業。前者のうち約5割が広告配信事業。基本戦略としてトラフィック(=自サイトへの訪問者)を集めてそれを(広告の売上によって)収益化するところに焦点を置いている。

※ ネットエイジグループが運営するサイト=KLASSSaafTrend MatchTAGGY
なお,http://www.netage.co.jp/business/index.html も参照。

※ 投資ポートフォリオ=MixiNet Mileイーバンク銀行Sea Capitalデジタル・ネットワーク・アプライアンスリアルワールドANY
なお,以下参照。
http://www.netage.co.jp/business/sozo/index.html
http://www.netage.co.jp/business/ikusei/index.html
http://www.netage.co.jp/business/shien/index.html

(4) 自社事業のキャッシュフローは広告事業から入り,投資事業は数年前から育成してきた事業がIPO(Initial Pubulic Offering 新規公開)などことによりEXIT(投資還元)するという形で進んでいる。売上では3分の2が広告事業であるが,営業利益率を見ると圧倒的に金融(投資)事業の方が高い(68%)。

(5) 金融(投資)事業は,5,6年前に作ったビジネスがようやく実を結び始めた段階。例えば先日IPOしたMixiは原始株(=会社設立時の出資株式)で持っているため,利益率が非常に高くなる。こうした先行投資事業の果実を受け取りながら,先行投資的な事業をネット上で作っているので,自社事業の利益率は多少犠牲になっている。

(6) Mixiは第二位株主で,公開に際しては1%程度売却した。きっかけは,当時東大の学生だった笠原(Mixi創業社長)氏が西川氏を訪問したことで,その後出資するだけでなく,システム構築などを手伝った。笠原氏に関しては,起業家としての将来性を買って,投資し,システム開発支援をした。

(7) ネットエイジは,起業の初期段階(アーリーステージ)においては,プロフェッショナルなベンチャーキャピタルというより,エンジェル(起業支援者)的な投資を行っていた。これは他の投資家からの資金を預かるのではなく,自由度の高い自社資金を投資していたからできたことで,それが成功に繋がった。

(8) 金融(投資)事業からの収益に偏っている印象があるため誤解されている面がある。これからの戦略としては,現在のWEB2.0的な投資のチャンスを逃すことなく,積極的に新しいビジネスを作りつつ,数年前に投資したものから果実を得ることで,全体的なキャッシュフローやボトムライン(最低線の売上高・利益)は確保することにより,安心して新しいことにトライする状況を作りたい。

(9) WEB2.0の「2.0」は,ソフトウエアのヴァージョンアップを意味する言葉であり,インターネットが一般の人に使われるようになって10年経つ間にいろいろな試行錯誤をすることで新しいトレンドが見えてきたという状況を8つのトレンドにまとめたものがWEB2.0という論文だった。ティーンエイジャーでインターネットを使い始めた層が20代から30代になり,インターネットのヘヴィユーザーでもあるこの層がマスとなって新しいインターネットビジネスを押し上げている。要するに消費者が受身ではなく積極的に発信するようになった。こうした新しいユーザー像はアルビン・トフラーがかつて「プロシューマー Prosumer(Producer+Consumer=生産者であると同時に消費者である主体)」という概念で示したような製造側に影響を及ぼす消費者像になる。例えば口コミの力が非常に大きくなっており,広告業界でもメーカーからの一方的なメッセージよりは消費者同士の情報交換という形になっている。それをひとつにまとめるようなサイトの運営も事業のひとつとして行なっている。

(10) IPOで取得した20億円近い資金の使用目的は,3年前に再編した路線を更に強化する形で考えている。具体的には前述のWEB2.0的な新しい分野に自社の事業として積極的に投資していくこと。また,投資事業では日本のみならず中国など世界の市場を睨んだサービスに投資チャンスがあると感じているので,そういったファンド組成に出資していく形で使っていこうと考えている。

(11) 自社ビジネスモデルの競合あるいは類似会社として見ているのは,デジタルガレージ(4819)ドリーム・インキュベータ(4310)がある。投資事業では40数億円で5本のファンドを持っているが,次のファンドの立ち上げもあるし,目的別という意味では中国へのファンドもある。

(12) 投資家に対する還元で配当政策は,株式会社の根本原理が配当にある以上,前向きに考えているが,会社としてオフィシャルに発表していない段階である。今年はMixiの上場があったが,来年以降も今までの投資の果実を上場で収穫しつつ,それによって得た資金でWEB2.0的新しい企業への投資に向け,このあたりでの(収穫→投資→収穫の)タイミングのバランスを取りながら経営して行きたい。

☆ 論評せず,参考資料として提供する。

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来週の相場展望分析【FISCO編=2=】

素材 クラブフィスコ ウィークリーメールマガジン 2006.10.6 No.93


【株式】「225型継続、TOPIX型への移行は連休中に判断できそう?」(FISCO村瀬部長)


<今週の相場概況>
 今週の日経平均は、週半ばに急落を受けたものの、その後の切り返しにより9月の戻り高値を突破。週初には9月末の特殊要因による上昇の反動が警戒されていたが、9月の企業短期経済観測調査(短観)で大企業製造業DIが市場コンセンサスを上回ったことが好感されて買いが先行した。週半ばには16000円割れ寸前まで下押す場面もみられたが、最高値更新後も強い動きをみせているNYダウに刺激される格好から国際優良株主導で一気に9月高値を突破した。


☆ 先週の相場を振り返ってみる。月曜日は日銀企業期経済測調査を見て,大企業の景況感が改善しているとして買い先行で始まった。輸出株が高く鉱業株が安かった。火曜日は5日ぶりの下落だったが後場に下げ渋った国際帝石HD,ソニーが個別材料(アザデガン油田権益・リチウムイオン電池発火)で下げ続けた。水曜日は前日の米国株式市場でニューヨークダウ工業株30種が史上最高値を更新したことを受け高く寄り付いたものの,後場に入って下げに転じた。木曜日は米国株(ダウ工業株30種)の高値追いを好感して反発し,後場に一段高となった。ただ,丸紅が米WHへの出資を取りやめたことで東芝が売られた。金曜日は小幅安で終わった。


 ただし、国際優良株など主力大型株が日経平均の指数をけん引している状況であり、週末の動きをみても日経平均は高値レベルで膠着するも、値下がり数は全体の7割を超える状況である。そのためNT倍率(日経平均÷TOPIX)は上昇傾向にあり、週半ばには一時10.10倍を超える場面をみせている。また規模別株価指数をみても大型株指数がプラスで推移する一方、中型株・小型株指数は弱含みとなっている。日経平均は戻り高値を突破し、5月急落前水準である16800-17000円レベルが意識されているが、全体としては弱さが感じられる。実際、TOPIXは9月前半に形成しているアイランドが残されたままである。また、ミクシィが上場来安値を更新するなど、新興市場の弱い動きが続いている。個人投資家の需給懸念は依然として燻っている状況であり、リスク許容度も低下してきていると考えられる。


☆ 金曜日にボソッと書いたように,日米共に安全牌である優良株に逃げ込んだ展開になっている感じがする。TOPIXのアイランド・リバースに橋が架からないのは,牛が出遅れているからではなく,ドイツ証券武者CIOがいうところの「バスに乗り遅れるな」が,魔本格的に信じられないという相場心理の裏返しではないかと思う。


☆ 特に気になったのは新興市場で,ミクシィがいよいよ下げ止まらなくなっている。なんでもどこかのカップルのプライバシーがファイル交換ソフトのウイルスか何かのために漏れる過程で,ミクシィ経由で火に油が注がれたということが相場関係のウエブログでは話題になっていた。これはあたしが以前から懸念していたことだったのだが,実名でないと登録できないSNSの致命的な弱点を衝いたやんちゃ事件であり,どのあたりまで情報を守るべきなのかという厳しい課題を突きつけられた笠原ミクシィの次の一手を注目している。


<来週の相場見通し>
 今後、NT倍率の修正(TOPIXが日経平均に対してアウトパフォーム)するようであれば、大手銀など内需関連中心の相対的に出遅れている銘柄を物色する流れが期待できる。しかし、現段階では、米国市場次第ではあるにせよ、国際優良株など主力大型株主導の流れが継続している状況のため、高値警戒感が強まっている主力株の上昇に乗るのがパフォーマンスを上げる方法であろう。ハ行色の強まっている状況であるため、下降トレンドにある銘柄へのリバウンド狙いとするには資金の流れが明確に変化するのを見極める必要がありそうだ。


☆ それしか手がないのは,金曜日にボソッと書いたように理解できる。今は逆張りはしにくく,順張りにつき合うしかない展開と見ている。ただ資金の流れの変化は,寄り前や昼休み中のデータだけで判断していいものか?


 また、商品市場から株式市場への資金シフトが出てきていると言われているが、調整が続く商品市場からのシフトであり、出遅れ物色と言うよりは強い動きをみせているところに素直に集中させてきていると考えられる。強いセクターの中での出遅れ銘柄などは有効であろうが、下落基調にある銘柄の割安感を手掛りにするのは割り切りスタンスとなろう。週末には大手銀などの切り返し(NT倍率の修正?)がみられているが、これが継続するかはNYダウの動き次第となりそうである。


☆ 先週個別に名前を挙げた銘柄,「日立製作所NECソニーというここのところ冴えない三社」に引き続き注目している。村瀬氏が指摘するようにこれらについては割り切りスタンス」(別名「猫パンチ」)の対応が肝要に思われる。ソフトバンクについては先週半ばで切り返してきたが,よく見ると携帯電話(=移動体通信)関係各社(NTT含めて,KDDI,ドコモ)ともコッソリ上昇している。通信セクターは,ここまでずっと材料として言われてきた番号携帯(=継続)制度(ナンバー・ポータビリティ)が実施されるので,材料出尽くし的に買いが入り始めている気がする。ソフトバンクに対するあの極端に安値レポートが逆に転換点となった可能性は高い。この辺はむしろアナリストの独立性をもう一度チェックされた方がいいのではないかと嫌味を書いておく。


 TOPIX型にシフトするようであれば、個人投資家も動きやすくなるとみられるが、現在の225型優位の流れが続いてしまうと、どちらかというと機関投資家の好む銘柄であるため、日経平均だけ強含んで、保有株式はパフォーマンスが上がらないといった、煮え切らない相場展開が続くことになる。これはファンド筋にとっても同じであり、パッシブファンドなどは逆の意味で、高いと思っていても国際優良株を買わないといけない状態。それ以外のファンドはTOPIXの弱い動きで買いづらいと言ったところか。今晩の米雇用統計を受けたNYダウの動向で、225型継続、もしくはTOPIX型への移行の動きが判断できるかもしれない。日本は祝日で月曜日は休みとなるため、週明けのNYダウの動向も合わせてチェックできるため、明確な物色対象の変化が起こる可能性はありそうだ。


☆ 最後の一行に村瀬氏の本音が窺える。相場は変化を求めているのだ。いや求めたがっていると言った方が正解か。。。見ているとやはり,重工三羽烏(7011~7013)は,あたしの願い虚しく羽ばたきたがっているし,新興市場と資源株に足を取られた個人投資家が置き去りにされる嫌な展開がまだまだ続きそうな気がしてならない。

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2006年10月 6日 (金)

あたし思うに

☆ 皆が安全牌に逃げ出す相場は,たぶん相当質が悪いと思う。

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2006年10月 5日 (木)

幽霊と相場は人気のないところに出るが

☆ 詐欺師とかっぱらいは,人気の多いところに出る(^▽^;)。例えばこの記事のように。

ネット掲示板で投資話 800万円詐取容疑で3人逮捕

(asahi.com 2006年10月05日16時29分)

> インターネットの掲示板で架空の海外投資などをうたって出資を募り、香川県内の男性から約800万円をだまし取ったとして、兵庫、宮崎両県警は5日、宮崎市高岡町、同市健康増進課主査の藤元隆典容疑者(46)と、振り込め詐欺グループの元リーダーで住所不定無職の富永勝志容疑者(31)=別の詐欺罪などで公判中=ら計3人を詐欺の疑いで逮捕した。3人は昨年12月から今年2月にかけ、十数人から1000万円余りを詐取していた疑いがあるという。

☆ おいおい。宮崎市には㌧でもない公務員がいたものだなA=´、`=)ゞ。

> 調べでは、3人は今年1月、ネットの掲示板に投資顧問会社を装って書き込みをし、海外の複数地域の株式などに投資する「国際分散投資」を「一口300ドル」で募り、香川県内の男性から、富永容疑者が管理する他人名義の銀行口座に計約800万円を振り込ませて詐取した疑い。

☆ 容疑者が管理する他人名義の銀行口座。。。確かに振り込め用偽装口座だ。まさに今まで使っていた杵柄(きねづか)という訳だ((゚m゚;)。

> 藤元容疑者と富永容疑者は、ネット上での携帯電話売買を通じて知り合ったといい、藤元容疑者が架空の投資情報を考え、富永容疑者らが掲示板へ書き込んでいた。だまし取ったカネは藤元容疑者と富永容疑者ら2人で折半していたという。

☆ しかしこういう「絵に描いたような詐欺」を見ていると,先ほど書いた「マネーロンダリング」の話と点と線で繋がりそうな気がする。一方に税金を取られたくないとか出所を知られたくないとか,コッソリ増やしたい金があって,何だか分からないけど「間違いなく」儲かりそうで,おまけに税務署ステークホルダー(笑)から「自由」な金の置き場所があれば。。。というせこい出来心があれば,誰でもコロッと引っ掛かりそうな気がする。

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マネーロンダリング

マネーロンダリング Book マネーロンダリング

著者:平尾 武史,村井 正美
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

☆ 読売新聞社の二人の記者による,克明な記録だ。世の中に「なんとかの帝王」は数多くいるが,これは「ヤミ金の帝王」と呼ばれた人物が,自らの身辺に捜査の手が伸びていることを察知し,荒稼ぎした金をどうやって隠そうかと考えたところから話は始まる。

☆ ロンダリングは洗浄と訳されるが,ランドリー(洗濯屋)だったら馴染みがあるだろう。金に色が付いている訳ではないが,実際に色が付いている以上「落とさなければならない」。そこにプライベート・バンクングで収益を荒稼ぎしたい外資系が絡めば,同名の橘玲の小説を思い出すだろう。こちらは事実だから,もっと興味深い。

☆ また五菱会という組織の名称が菱紋の五代目から来ていたとは改めて聞かされると成程と思わされる。三代目の死後,深刻な内部抗争を経て爆発的な組織拡大を図ったこの広域暴力団は,明らかに性格を経済ヤクザに変貌させている事が分かる。それは彼等の凌ぎにとってもビッグ・ビジネスであろうが,「振り込め詐欺」の類を見れば分かる通り警察が危惧する通り一般市民をより巻き込むことになる。そうした背景を考えつつ話を読んでいくと,ただただ興味深く感じるところだ。

☆ 先日「時間限定」でここに掲示したメルマガが指摘していたように,これからはますます資本市場を利用した合法的な資金吸収(IPOに始まりMBOを経て再度のIPOで完結する)が乱発される懸念を覚える。マネーロンダリングは立派な犯罪だが,資本市場の仕組みを使ってグレーゾーンぎりぎりで切り抜けようという品格なきグリード(貪欲さ)は,新たな犯罪モデルのプロトタイプとなることであろう。

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2006年10月 3日 (火)

ウチ目均考(14)~良薬は口の中の苦虫

☆ 日本経済新聞 第43365号 2006年10月3日(火)15面(投資・財務2)

コラム「一目均衡」 帰ってきた?ソフトバンク (末村篤 特別編集委員)

☆ もう10年も経つのかと思った。日本経済新聞の産業面だったかのコラム(「経営の視点」か何かだっただろうか?)で,まだ編集委員の若手だった苦虫こと末村篤がソフトバンクのことを「会社型投信」と言い切った記事を見てから。。。書いたご本人がそう回顧しているからそうなのかもしれないが,もっとITバブルに近い時期だったんじゃないのかなという気もする。

☆ 内容は「一目均衡」に末村自身が書いているように「パソコンソフト販売から出版に展開した実業を種に,市場調達資金を他企業に投資するビジネスモデルは投資会社,孫正義はファンドマネジャーで,同社への投資は投信を買うようなもの」という指摘だった。当時のソフトバンクはコムデックス(COMDEX)米国のコンピューター・ハイテク産業の見本市(の企画会社)を買収するとか,まだ未上場だったテレビ朝日の株式を同社の大株主だった旺文社の一族から買い受けようとして「スピード違反の経営」とか言われていた頃の話だろう。当時の(たぶん今もいるんだけど^^;)財界のお偉方が「孫君はやり過ぎている」と自分は口ばかりなのを棚に上げて怒った頃だから(爆笑),このコラムを見た時の感想は「財界に媚びていやがる」程度のものだったことをここで認めておこう(^▽^;)。

☆ ところがどっこい,苦虫の指摘は,孫と北尾の二人三脚が暴走し始め,重田などのフォロワーが登場するにつれて現実化する。ITバブルとか,ネットバブルなどと言っているが,本質は「何か新しそうなことをやっている」企業の先買いと,その成長性という魔法が有効な間だけ通用する本質価値を超えた擬制資本の暴走,平たく言えばバブルであった。だから苦虫苦虫と小馬鹿にしているように見えるかもしれないが,あたしは末村の発言の背景にある冷静な視座は高く評価している。

☆ 面白いのは,苦虫のソフトバンク評は「IPOビジネスの総取りを狙う逸脱もあった」と言いながら,その一方で「投資の器として株式会社の可能性への挑戦は「失われた十年」の希望の星であり,ライブドアや楽天などのビジネスモデルは同社の模倣に過ぎない。」とも書いて,意外にも高い評価を与えている。彼なりにソフトバンクには思うところがあるのか,あたしには正直良く分からないのだが。。。(^▽^;)

☆ このコラムの焦点はここから。「ブロードバンド事業進出以来の事業会社回帰」を苦虫は「付加価値の第一次生産者としての実力不足」と総括し,証拠として「上場来12年間の累計最終損益は2千億円弱の赤字だ」と指摘する。ここから再び本領発揮で苦虫はこう言う。「自ら手掛けた事業は利益を生まず,株主の期待を裏切り続けた歴史といえる。」有り体に言えばその通りである。もちろんYahoo!BBなかりせば,この国の高速IT通信網と低廉な常時接続サービスが存在し得たのかというWEBなんとか.なにがし的議論はあるだろうが,それは苦虫の論旨とは関係の無い話だろう。

☆ そして結論として,苦虫自身は気が引けたのか,どこの誰とも知らない運用のプロなる人物の発言を引いてこう言う。
「人気だけで実体がない日本特有の株。買いたくて買うと高値,売りたくて売ると底値。投機好みの個人投資家には魅力的でも,これほど厄介な株はない。」

☆ 最後に先ほどの質問を交えながら苦虫自身はこう総括する。

「ブロードバンドの普及でIT後進国の日本を先進国に押し上げた功績と,投資に見合う利益を上げ株主の期待に応えるのは別次元の話だ。孫社長は投資の回収を目指す事業家か,永遠に夢を追う投資家か。株式会社の実験企業が仕手株である必然性はないとすれば,ソフトバンク株の行方は日本の投資家の成熟度を測るバロメーターになる。」

☆ 苦すぎる。。。(^▽^;)

☆ ただ,彼が言うのは正論である。あたしのイメージではソフトバンクは,かつて昭和30年代の本田技研(ホンダ)や理研光機(リコー)のようになれるのか,昭和50年代の三光汽船のようになるのか,どちらかなのだろう。苦虫の結論は,恐らく10年前に下した彼の予断通りであろうから,ここであえて問う必要すらないだろうが。

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本社元社員,罪状認める (日本経済新聞第43365号 2006年10月3日(火)第42面(社会)

本社元社員,罪状認める (日本経済新聞第43365号 2006年10月3日(火)第42面(社会)

インサイダー事件 東京地裁で初公判

「不正利益9700万円」

> 日本経済新聞社東京本社広告局の元社員のインサイダー取引事件で,証券取引法違反罪に問われた元金融広告部員,笹原一真被告(31)=懲戒解雇=の初公判が二日,東京地裁(青柳勤哉裁判長)であり,罪状認否で同被告は「間違いございません」と起訴事実を全面的に認めた。検察側は,未公表情報を利用した株取引で得た利益は,起訴分以外も含め,計9千7百15万円にのぼることを明らかにした。

> 検察側の冒頭陳述によると,笹原被告は2004年3月ごろ株取引を始め,昨年2月,ライブドアの転換価格修正条項付新株予約権付社債(MSCB)の法定公告が日経新聞に掲載されたことに着目。社内の広告管理システムの端末に法定公告の内容が表示されることに気付き,同年8月ごろ未公表情報を悪用して株を購入するようになった。

> 昨年12月から今年1月にかけては,西松屋チェーンなど上場企業5社が1株を2株に分割するとの法定公告が掲載されることを把握し,自分や妻名義で各社株約9万4千株を約2億4千万円で公表前に不正に購入。いずれも日経新聞朝刊に公告が掲載された後に売り抜け,売却益約2千9百5十万円を得た。

> 証拠調べで検察側は,不正取引の動機について「株で利益を得るのは,男として格好いいと思った」などとする同被告の供述調書の要旨を朗読。起訴対象の5銘柄を含め,端末を見たり,公告の割り付け表から推測するなど「ずるいことをして約9千7百15万円をもうけた」と供述していることも明かした。

> 笹原被告は今年7月25日,証券取引等監視委員会が証取法違反容疑で告発したのを受け,東京地検特捜部に逮捕された。日経は同日,懲戒解雇した。

以上が記事全文(見出し・本文)である。

☆ 本件の論評は稿を改めて行う。

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2006年10月 2日 (月)

余興?

図研が売り優勢、ディープインパクト号の凱旋門賞敗戦で

> [東京 2日 ロイター] 午前の東京株式市場で、図研<6947.T>が売り優勢で始まった。1日に行われた凱旋門賞で、同社の金子社長が所有するディープインパクト号が3着に敗れたことが手掛かり。これまでディープインパクト号が大レースを制するたびに、同社株は上昇していた経緯があることから、今回もレース前に買われていたために失望売りが出ているという。

(ロイター) - 10月2日10時38分更新

☆ 感想はひと言。ロイターよ,あんたも好きね。 (´・ω・`)

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2006年10月 1日 (日)

【トライアル版】来週の相場展望分析【FISCO編=1=】

素材 クラブフィスコ ウィークリーメールマガジン 2006.9.29 No.92

【株式】「リバウンド一巡、アイランド打ち消しなら強気に」(FISCO村瀬部長)

<今週の相場概況>
 今週の日経平均は下落リスクがくすぶる中、週初にはTOPIX型のミス発注によるイレギュラーの売りの影響から一時15513.87円まで下げる場面をみせた。しかし、その後はミス分の買い戻しや野村の中小型株ファンドなど投資信託の大量設定、景気減速リスク後退による米国市場の上昇基調、さらに安倍新政権発足による政策期待による流れなどから上昇基調を強めて16000円を回復。期末要因から参加者が限られていたため売買高は依然として低水準でありながらもファンド設定による押上げ効果が大きかったとみられる。

☆ 先週のあたしの相場観は弱気継続。その弱気には特段の根拠もない。ただ,強気になれないというのが最大の理由(^▽^;)。正直に言えば,下期には買い直し出来そうだからこの辺でチョッとCPを増やしておこうか程度のもの。週初の誤発注の話は,月曜の後場寄り後のことではなかったかと思う。この辺は前週に売っておけばよかったと焦ったものである。月曜日は権利付き最終売買日だったから元々スルーだったが,火曜日になって実際に権利落ちしてみると,やっぱりパッとしない相場でそんな雰囲気の中,安倍新政権がスタートしたという感じだった。

 また、下落リスクを警戒していながらの上昇であったため、どちらかというとショート(売り)ポジションに傾きやすい面も需給を悪化させなかったようである。物色はこれまでの値がさハイテクから今週は大手銀行、不動産、鉄鋼といった内需関連主導に。NT倍率は10倍を割り込む場面もみられた。また、需給妙味の高まっているソフトバンクが週末にかけて強い動きをみせたことで、新興市場の売り込まれていた銘柄などに値ごろ感からの買いが向かう場面もみられた。

☆ その意味で,水曜日はあたし的には絶好の売り場に見えた。実際,あたしが店頭にいた後場の2時半過ぎまでは相場は順調に上がっているように見えたが,それからも勢いが弱くなることなく,木・金と上昇がともかく形になったのは,予想外だった。また猫パンチ銘柄を久々に買ったのだが,これは底付き反騰の途中で買ったせいか,上昇したと思ったら値を消してしまい,改めて新興市場との相性の悪さを思い知らされた。orz

<来週の相場見通し>
 日経平均は25日線、26週線のほか一目均衡表の基準線を確実に突破してきている。同時に遅行線も上昇しており、過去の実線を下から上に抜きつつあり、上方転換シグナル発生への期待が高まってきている。週足ベースでも先行スパン(雲)上限を回復し、基準線を突破してきている状況である。ただし、前週に重要な支持線を割り込んでいるほか、週初にも下値を切り下げているため、現在はテクニカルリバウンドの範囲内であり、16200円レベルまでの戻りはあってもおかしくないレベルである。依然として16200-16400円レベルにあるアイランドが形成される可能性は残っている状態であるため、これを確実に打ち消すまでは何時リバウンドが終わってもおかしくないと考えられる。また、結果的には安値から600円程度の上昇とはなっているが、TOPIX型のインデックス売買やファンド設定にともなう買いが中心とみられるため、600円上昇の割には参加しづらい週であった。そのため、先高期待を強めて需給が買いに傾いているとは考えづらいことから、アイランドを打ち消してからの参加でも間に合うとみている。

☆ 村瀬氏は強気継続が基本スタンスにあるようだ。ただテクニカルリバウンドの範囲内という指摘は,先週末の日経CNBC「WEEKLYラップ」の「Catch Up Market」に出ていたAIG投信投資顧問の元木氏も年内相場はレンジ内の往来になると読んでおり,中勢上昇相場の中の短期レンジ内推移というなんちゃって熊派を後方支援するようなコメントのように思えた(^▽^;)。FISCO名物牛熊談義でも注目の的だった(^▽^;)16200-16400円レベルにあるアイランドの否定があるかどうかはなんちゃって熊派としても見逃せないところだ。まして金曜大引け間近のバスに乗り遅れるな買い銘柄(東宝と東急不動産)は2日新甫リバースを喰らいそうだから,週初,日経の頭は重いと考えている。村瀬氏もアイランドを打ち消してからの参加でも間に合うと,余裕の発言だが。。。(;´▽`A``

 週末の日経平均は高値引けとなった。相場の先高観を意識させるような終り方となってはいるが、これも期末価格を意識したところによると考えられる。来週以降もこの上昇の流れが続くとみるには、押し上げにつながる材料が必要であろう。来週は週初に日銀短期経済観測調査(日銀短観)が予定されている。大企業・製造業の業況判断指数DIはプラス21、大企業・非製造業DIはプラス20と、前回6月調査と同じと予想されている。この予想が上回るようであれば、内需関連主導での上昇が期待されるほか、米国市場がさらに上昇基調を強めるようであれば、今週やや動きの鈍かった値がさハイテク中心とした国際優良株などへの上昇につながることは考えられる。

☆ 既に先週後半にはエコノミストの関心は明日朝の日銀短観に移っていたが,この辺の予想は村瀬氏にお任せする。ただ物色対象の変化については,引き続き注視したい。

 ただし、下落基調の続いていた大手銀行など内需関連のリバウンドは、先回り的な動きから売り方の買い戻しなどもあったとみられる。これに値ごろ感からの買いが加わっていたとすると、ただでさえ4月の高値期日による需給懸念が警戒されているため、短観発表後の一段高への期待はあまり大きく持たない方がよさそうである。4月の高値期日による需給懸念のほか、ラマダン入りによるオイルマネー流入も期待できず、野村不動産HDなど大型IPOなども控えているため、先高期待を強めるというよりは、リバウンド一巡による調整相場を想定している。アイランドを確実に消し去った後に、17000円および4月高値の17500円レベルを意識したい。

☆ 物色対象の変化については,注視している銘柄は,日立製作所NECソニーというここのところ冴えない三社並びにソフトバンク楽天ACCESSあたり。後者は出来高がある程度継続的に捕捉できる(各市場売買高上位の常連)ことがその理由。低位では相変わらずの三洋電機沖電気ケンウッドクラリオン低迷2銘柄も追加かな。それからパイオニアビクターが抜け出せたかどうかも確認すべきところ(ここに先週1,200円ドタまで落ちて来たアルプス電気あたりを加えてもいいだろうか)。

☆ 逆に勢いがつくのかどうかを見るには,先週身軽にしてしまった(自爆)重工川重石川島の7010番台トリオ。あとは正直,ワカラン。ただ,村瀬氏が言うように短観発表後の一段高への期待はあまり大きく持たない方がよさそう。そんなに相場は単純じゃない。(;^_^A

【注意】

ここに出てきた個別の銘柄に関して,あたしは基本的にポジションを明らかにすることはしません。買っているかもしれないし,全部売っているかもしれない。多少臭う場所はあるでしょうが,その辺はご勘弁を。m(_ _ )m

これは投資のウエブログという特徴上,どうしようもない制約であり,あたしにとっては守るべきルールそのものです。そういう訳で,このウエブログは,それを見た人の特定銘柄の売買に関しては全く感知致しませんし,そのことを期待も致しません。

万が一,そういう傾向が見られた場合には,この場所におけるこうした記事の掲載は継続不可能となってしまいますので,ご納得いただいた上で,ご参照いただければ幸いに存じます。

もっとも筆者は,この半年で11.58%負けているど下手糞でありますから,その点も十分に確認いただいた上で,皆様の投資生活の一助にしていただければと存じます。(^-^)ノ~~

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