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2006年10月 3日 (火)

ウチ目均考(14)~良薬は口の中の苦虫

☆ 日本経済新聞 第43365号 2006年10月3日(火)15面(投資・財務2)

コラム「一目均衡」 帰ってきた?ソフトバンク (末村篤 特別編集委員)

☆ もう10年も経つのかと思った。日本経済新聞の産業面だったかのコラム(「経営の視点」か何かだっただろうか?)で,まだ編集委員の若手だった苦虫こと末村篤がソフトバンクのことを「会社型投信」と言い切った記事を見てから。。。書いたご本人がそう回顧しているからそうなのかもしれないが,もっとITバブルに近い時期だったんじゃないのかなという気もする。

☆ 内容は「一目均衡」に末村自身が書いているように「パソコンソフト販売から出版に展開した実業を種に,市場調達資金を他企業に投資するビジネスモデルは投資会社,孫正義はファンドマネジャーで,同社への投資は投信を買うようなもの」という指摘だった。当時のソフトバンクはコムデックス(COMDEX)米国のコンピューター・ハイテク産業の見本市(の企画会社)を買収するとか,まだ未上場だったテレビ朝日の株式を同社の大株主だった旺文社の一族から買い受けようとして「スピード違反の経営」とか言われていた頃の話だろう。当時の(たぶん今もいるんだけど^^;)財界のお偉方が「孫君はやり過ぎている」と自分は口ばかりなのを棚に上げて怒った頃だから(爆笑),このコラムを見た時の感想は「財界に媚びていやがる」程度のものだったことをここで認めておこう(^▽^;)。

☆ ところがどっこい,苦虫の指摘は,孫と北尾の二人三脚が暴走し始め,重田などのフォロワーが登場するにつれて現実化する。ITバブルとか,ネットバブルなどと言っているが,本質は「何か新しそうなことをやっている」企業の先買いと,その成長性という魔法が有効な間だけ通用する本質価値を超えた擬制資本の暴走,平たく言えばバブルであった。だから苦虫苦虫と小馬鹿にしているように見えるかもしれないが,あたしは末村の発言の背景にある冷静な視座は高く評価している。

☆ 面白いのは,苦虫のソフトバンク評は「IPOビジネスの総取りを狙う逸脱もあった」と言いながら,その一方で「投資の器として株式会社の可能性への挑戦は「失われた十年」の希望の星であり,ライブドアや楽天などのビジネスモデルは同社の模倣に過ぎない。」とも書いて,意外にも高い評価を与えている。彼なりにソフトバンクには思うところがあるのか,あたしには正直良く分からないのだが。。。(^▽^;)

☆ このコラムの焦点はここから。「ブロードバンド事業進出以来の事業会社回帰」を苦虫は「付加価値の第一次生産者としての実力不足」と総括し,証拠として「上場来12年間の累計最終損益は2千億円弱の赤字だ」と指摘する。ここから再び本領発揮で苦虫はこう言う。「自ら手掛けた事業は利益を生まず,株主の期待を裏切り続けた歴史といえる。」有り体に言えばその通りである。もちろんYahoo!BBなかりせば,この国の高速IT通信網と低廉な常時接続サービスが存在し得たのかというWEBなんとか.なにがし的議論はあるだろうが,それは苦虫の論旨とは関係の無い話だろう。

☆ そして結論として,苦虫自身は気が引けたのか,どこの誰とも知らない運用のプロなる人物の発言を引いてこう言う。
「人気だけで実体がない日本特有の株。買いたくて買うと高値,売りたくて売ると底値。投機好みの個人投資家には魅力的でも,これほど厄介な株はない。」

☆ 最後に先ほどの質問を交えながら苦虫自身はこう総括する。

「ブロードバンドの普及でIT後進国の日本を先進国に押し上げた功績と,投資に見合う利益を上げ株主の期待に応えるのは別次元の話だ。孫社長は投資の回収を目指す事業家か,永遠に夢を追う投資家か。株式会社の実験企業が仕手株である必然性はないとすれば,ソフトバンク株の行方は日本の投資家の成熟度を測るバロメーターになる。」

☆ 苦すぎる。。。(^▽^;)

☆ ただ,彼が言うのは正論である。あたしのイメージではソフトバンクは,かつて昭和30年代の本田技研(ホンダ)や理研光機(リコー)のようになれるのか,昭和50年代の三光汽船のようになるのか,どちらかなのだろう。苦虫の結論は,恐らく10年前に下した彼の予断通りであろうから,ここであえて問う必要すらないだろうが。

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