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2006年9月16日 (土)

日本経済新聞第43347号(2006年9月15日金曜日)経済教室「公的資金完済・新しい銀行像」への反論

☆ 苦しくなったら日経の本紙に出てくるところまで加藤(アキラ)にそっくりだな,アトキンソン。お前のおかげで日本の個人投資家は銀行株でどれだけの損害を蒙ったか,今から熨斗をつけて叩き返してやるから,せいぜいその眠たそうな目をしっかり見開いてこの駄文を読むことだな。

☆ 経済教室は長文だが,要旨は右側に書かれた要旨はこうなっている。

「欧米の銀行に比べて邦銀の収益性が見劣りするのは,日本の銀行数が多く,過当競争になっているからという見方がある。しかしこれは正しくない。リテール業務の深耕が求められる中で,人員も店舗も少なすぎ,顧客基盤が狭すぎるのが主因である。」

☆ なんのことはない。日頃アトキンソンがGSのアナリストレポートに書いていることの焼き直しに過ぎない。いつだったかのレポートには(あたしには事実とは思えないのだが),アトキンソン自身が用向きで出掛けた銀行の窓口で非常に長い時間待たされたという体験談まで書いていたことがあった。

☆ ところでアトキンソンのいう「銀行」とは,どういうものであるのか?現在の欧米銀行の主要業務がかつての商業銀行タイプから投資銀行タイプに大きく変わっていることは疑う余地もない(J.P.モルガンとHSBCを例にとれば解るだろう)。銀行の収益源は手数料収入,それも様々な金融工学を駆使したレベルの高いディールによるものにウエイトがシフトしている。リテールを軽視するのではなく,リテールにかけるコストを極限まで減らそうとしている。この場合リテールそのものを縮小するのではなく,先に挙げた金融工学に基づく収益モデルをリテール分野に適用することと,ネットバンキングのような省人化モデルによりコストの合理化を図ること,それが出来ない分野は,例えば口座維持手数料のような形で小まめに収益を上げることがリテール分野での彼等のアプローチであるように思われる。

☆ 更に言えば,プライベートバンキングのようなフィナンシャル・アドバイザリーもまたリテールの中で重視すべき分野である。先日野村證券がSMA口座の小口化を行うような内容の記事が日経に出ていたが,あれも単純に間口を広げているのではなく,資産規模に応じた別個のスタイルのSMA口座を取り扱うことで,富裕層だけでなくその予備軍を獲得しようという目論見であることは疑う余地もない。

☆ 翻ってアトキンソンの論旨を見ると,まず時代認識として「主要行(メガバンクを念頭においているものと推定する)各グループの利益ベースが拡大したことにより,利益成長は格段に難しくなっている」から「成長維持にはこれまでにない戦略が求められ」るという。では戦略とは何かというと「銀行は提供するサービスを拡充して顧客資産の効率を高める戦略を構築する必要が」あり,それには「ビジネスモデルを人材集約型の戦略に転換する必要があ」るという。これは殆ど結論のようなもので,ここからはどうしてこの結論を導き出したのかという理論構築になっていく。

☆ 邦銀が人材集約型になるのかどうかは銀行経営者が考えればいいことだが,それは邦銀の活動範囲を国内に限って話しているのか,それとも海外展開について念頭に置いているのかで,結論が大きく異なってくることを指摘しておかなければなるまい。

☆ 1990年代初め,シティバンクは不動産融資等の失敗で経営危機にあった。当時の会長ジョン・リードはこれに対して行ったことは,投資銀行業務からの撤退と消費者金融への集中だった。ここでいう「消費者金融」は勿論リテールではなくコンシューマー・ファイナンスである。つまり今でこそメガバンクの雄であるシティ・コープもリードが立て直す時期においては,金利の利幅が取れるコンシューマー・ファイナンスを主軸に据えたのである。

☆ アトキンソンがそういう論点からリテール拡充と言うのであれば,それはそれなりに説得力があるようにも見える。反面,三菱東京UFJはアコムをグループに取り込んでいるし,三井住友はプロミスやモビットを使いこなそうという意図が見える。その時期に消費者金融のグレーゾーン規制が政治問題化したことは,このことと関係が無い訳もなく,世の中の事態の方がアトキンソンの提案の先を行っている観が無くもない。

☆ ここから先のアトキンソンの議論はある条件を考えた場合,滑稽としか言えない。その条件とは,1980年代後半以降の米国におけるメガマージャー(金融大再編)とそれが引き起こした欧米銀行の再編だ。この議論についていちいち反証を挙げる気がしないのでもう書かないが,それぞれの銀行が合併や買収によって拡大した基盤をベースにして議論を進めるのは,銀行株アナリストとしていかがなものかとは指摘すべきだろう。

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コメント

ほんとだ、反映されてますね。少し時間がかかるだけなんですね、安心しました。これからも、よろしくお願いします。

投稿: ひろかブー | 2006年9月17日 (日) 23時52分

こんばんわ。
以前にコメント書いたのですが、うまく反映できてなかったみたいです。

投稿: ひろかブー | 2006年9月17日 (日) 22時41分

またまた登場、アトキンソン、か、という感じで読んでいました。日本の邦銀のスタイルに関しては、やはり将来出来るゆうちょ銀行との絡みも論議しなければならず、そのような流れの上でいかにリテール分野に深耕していけるのか、注目すべきところなんじゃないかと思います(ex.ゆうちょ銀行では出来ないコンシューマー・ファイナンスなど)。その辺をアトキンソンは言及し、その前提に立った上での銀行のあり方について議論すべきだと思います。

投稿: kabu-gion | 2006年9月17日 (日) 15時44分

コメントを残したいのですが
わたしの稚拙極まりない頭からは
よいコメントが浮かびませんでした(泣)

投稿: うさぎ | 2006年9月17日 (日) 14時09分

少し内容は難かしいですが、勉強になりました。
私の意見では、店舗や人は極限まで減らし、利益は金融商品、高利貸しで、どんどん拡大できる、そんな方向を目指すのでしょうか?

投稿: tadaofp | 2006年9月17日 (日) 11時56分

9.11に対するコメントありがとうございました。後ほどアメブロ最後の記事を拝読したいと思います。ますますのご発展をお祈りしております。

投稿: bhycom | 2006年9月17日 (日) 03時42分

いつもありがとうございます。9.11の件についてのコメントありがとうございました。後ほど9.11に対するアメブロ最後の記事を拝読させていただきます。ますますのご発展をお祈りいたします。

投稿: bhycom | 2006年9月17日 (日) 03時39分

お帰りやすめぐみ。 シティーバンクは、たしかサウジアラビアのアル・ワリート王子が大株主の尊でおられるBANKでは。 この王子も勝負士だわ。 コカ・コーラをガッポリ買っていたバフェット氏と同じく、神懸りてきなセンスを持っておられます。 一発大勝負で勝利を掴み取る、神の領域とも思えるレベルの勝負勘は、できれば欲しいような、はたまた身分不相応な望みかもしれません。

投稿: 吉田 司 | 2006年9月16日 (土) 21時09分

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